エスペランサ婦人会が正式解散=約200万レと2不動産を寄付=「使命果たした」73年間貢献

解散総会に出席した皆さん
解散総会に出席した皆さん
最後の挨拶をする倉持会長
最後の挨拶をする倉持会長

 エスペランサ婦人会(倉持恵美子会長)は30日午後2時、サンパウロ日伯援護協会本部5階で最後の臨時解散総会を実施し、73年間の間にコツコツと貯めた資産約200万レアル(約5105万円相当)の現金と二つの不動産などを、医療団体や福祉施設に寄付することを決議した。1949年、荒廃した祖国に救援物資を送るために活動を始めた同婦人会は、日本舞踊や生け花、語学、料理教室、ピアノなど多数の教養講座を開設して日々研鑽し、バザーやお茶会を催して利益を日系福祉団体に寄付してきた。2月15日をもって正式解散となる。
 最後に銀行口座に残ったのは199万6160レアル49センターボ。文協ビル5階の同婦人会サロンに加え、リベルダーデ区に不動産もあった。決して資金難から解散を決めた訳ではない。今年8月には74周年を迎える予定だった。
 総会の司会進行を務めた書記のマリア・ミチヨ・イマジニさんは、「会に愛着があったのでサウダーデ(郷愁)を感じる。パンデミックで家から出られなくなり、一気に勢いを失った。新しい人が入らないから解散も仕方ない」と悲しそうに述べた。最盛期には300人以上いた会員も現在は60人、しかも平均年齢は約85歳という。
 34年間も同会会計を任じてきた宮本ミリアンさんは、「73年間、他の団体を支援する活動を続けてきた。その上でこの財産を残し、それも全て寄付する。悲しいけど会の使命は果たしたと思う」としみじみ語った。同じく会計を任されてきた山口ジューリア弘子さんも「バザーなどの売り上げを昔から少しずつ貯めて、この金額になった。清算するに当たって全ての財産目録を作成するなど大変な作業だった。でも借金なしに終えられてホッとしている」と胸を撫で下ろした。
 バザーやお茶会の売り上げはしっかりと管理され、まるで〝へそくり〟のよう貯められてきた。
 開会の挨拶で倉持会長は「皆さん、お世話になりました。お別れは本当に悲しく辛いですが、仕方ありません。お互いに体に気をつけてまた元気に会いましょう」と感極まった様子で語った。
 不動産資産等の寄付を受けるサンパウロ日伯援護協会の税田税田パウロ清七会長は、文協ビルの同婦人会サーラをブラジル日本都道府県人会連合会に賃貸することにした経緯を説明し、「援協だけでなく、今までエスペランサがしてくれた日系団体への全ての支援に感謝します」と述べた。
 25年ぐらい前から参加する田中美智子さん(80、東京都出身)は「諸先輩の方々が努力してコロニアに貢献してきた。コーラスを習ったり、バザーでうどんを出して褒められたり、とても楽しかった。とても残念です」と語った。
 28年間関わってきた古賀弘子さん(80、二世)は、「色々なお稽古ができて、楽しかった。過ぎてみたら、本当にあっという間でした。とてもさみしい気持ちです」と胸中を吐露した。
 ある会員は「昔はみんな喜んでボランティアとして会のために汗を流した。それが楽しかった。でも今はタダ働きが嫌われる。ボランティアをする人がいないから、新人が入らない」とつぶやいた。これはエスペランサに限らない。日系団体の活動の根本を支える婦人部全体が危機的な状況にあることの予兆といえそうだ。
 エスぺランサが所有する什器設備類はブラジル日本文化福祉協会、希望の家、県連、こどものその、憩の園に寄付する。現金の寄付先は希望の家、こどものその、憩の園、文協、県連、ムジコテラピア、移民史料館、サンタクルス日本病院、援協など。

 

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