ボルソナロ前大統領は自身の血筋に関し、「法的にはイタリアの市民権を獲得するのは容易」と主張。噂されているイタリアへの亡命を匂わす発言として受け止められた。3日付現地紙、サイトが報じている。
この発言は1月31日、ボルソナロ氏の滞在先の米国フロリダ州オーランドで行われた講演会が終わった後に同氏自身が行ったものだ。講演会場を訪れていたイタリアの新聞コリエーレ・デッラ・セラ紙の記者の質問に対し、ボルソナロ氏は、「法的には私はイタリア人だ。祖父母がイタリア生まれなので。手続きは少しばかり必要だが、私は完全なイタリア市民権を得ることができる」と語った。
ボルソナロ氏がイタリアに政治亡命するのではないかとの噂は昨年11月、長男フラヴィオ上議と三男エドゥアルド下議がブラジリアのイタリア大使館を訪れ、市民権の手続きを行ったときから浮上していた。
加えて、現在のイタリアが、同国のかつての独裁者ムッソリーニを支持する極右派のジョルジア・メローニ首相の政権であることも、ボルソナロ氏亡命の憶測を強めていた。
ただし、メローニ首相は1月8日の三権中枢施設襲撃事件に関し、襲撃者たちを強く批判している。また、イタリア外務省によると、ボルソナロ氏がイタリア市民権を申請したという事実は現在のところないという。
ボルソナロ氏は現在、1月30日に期限が切れた公用ビザの代わりに観光ビザを申請中だ。これは申請受付から発行までに最大2カ月間を要する。
ジャーナリストのパウロ・カペッリ氏は、2日にマルコス・ド・ヴァル上議の告白によって明らかになったクーデター疑惑によってボルソナロ氏逮捕の機運が強まった結果、「政治的迫害」を理由としてイタリアに亡命とのシナリオが強化された、との見方を行っている。
ボルソナロ氏は1月31日の講演で「ルーラ政権は長くは続かない」という、意味深長な発言を行っている。