【既報関連】最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事は3日、ボルソナロ前大統領とダニエル・シルヴェイラ元下議によるクーデター計画を暴露したマルコス・ド・ヴァル上議(ポデモス)に対し、クーデター計画そのものと、同上議の証言内容変更についての捜査を決めた。同上議に関しては、モラエス判事を三権中枢施設襲撃事件の捜査から外すよう訴えるなど、同判事や連邦政府を罠にかけようとしているのではないかと見る向きもある。3〜6日付現地紙、サイトが報じている。
ヴァル上議は2日、ヴェージャ誌に対し、ボルソナロ大統領(当時)とシルヴェイラ下議(当時)からモラエス判事に盗聴を仕掛けた上、誘導尋問によって大統領選でボルソナロ氏を不利にしようとしていたとの疑惑を引き出し、逮捕に追い込んで逆転当選させようとするクーデター計画を持ちかけられたと暴露した。
モラエス判事はこれに対して3日、このクーデター計画を「タバジャラ・クーデター」と呼んで一笑に付した。この「タバジャラ」というのは、かつてグローボ局で放送していたお笑い番組で馬鹿げた架空の通販商品などを紹介していたコーナーの名前だ。
モラエス判事は、3日のうちにこのクーデター作戦と、ヴァル氏の度重なる矛盾証言に関する捜査を行うことを決めた。
ヴァル氏は1日、ネットで「ボルソナロ氏が共同でクーデターを考えた」と投稿。だが、2日未明発行のヴェージャ誌のインタビューでは、「シルヴェイラ氏にアイデアを持ちかけられた大統領が自分にクーデターへの参加を求めた」といい、2日の連邦警察での証言では、「クーデターは全てシルヴェイラ氏によるもので、ボルソナロ氏は1度も反論しなかった」と証言を変えていた。
ボルソナロ前大統領の疑惑を暴露したヴァル氏だが、一方で不審な動きを見せている。3日、ヴァル氏は連邦検察庁に対し、モラエス判事を三権中枢施設襲撃事件に関係する捜査から外すように訴えた。ヴァル氏はその理由を、昨年の12月9日にボルソナロ氏らからクーデター計画を持ちかけられた際にモラエス判事とメールでやりとりをしたことをあげている。
これに対し連邦政府は、ヴァル氏の暴露には裏があるのではと疑っている。政府側関係者の多くは、ヴァル氏の真の目的はボルソナロ氏を告発することではなく、このクーデター計画の件で議会調査委員会(CPI)を作らせることだと見ており、CPIの会期中にヴァル氏をはじめとしたボルソナロ派が連邦政府に対して爆弾発言などを行い、煙に巻くのではないかと考えている。
そうしたこともあり、連邦政府側はこのクーデター計画に関するCPIを作ることには否定的だ。ルーラ大統領は三権中枢施設襲撃事件に関するCPIを作ることにさえ反対している。CPIよりも連邦警察による捜査を重視したい意向だ。
上院の連邦政府リーダーのランドルフ・ロドリゲス上議は「ヴァル氏が望むようなCPIは作らせない」としており、同氏を倫理委員会にかける意向を示している。