モラエス判事盗聴を依頼=VJ報道のハッカーに9月=「大統領から任務と言われた」

デルガッティ氏(左)とザンベッリ下議(twitter)
デルガッティ氏(左)とザンベッリ下議(twitter)

 先週発覚した、ボルソナロ前大統領によるアレッシャンドレ・デ・モラエス最高裁判事の盗聴が昨年9月に計画され、そこにヴァザ・ジャット(VJ)報道で有名になったハッカーのヴァルテル・デルガッティ氏が参加していた疑惑が浮上している。6、7日付現地紙、サイトが報じている。
 今回の疑惑は、2日にボルソナロ前大統領のクーデター疑惑を報じたヴェージャ誌が6日付サイトで報じたものだ。同誌は昨年8月に既に、デルガッティ氏が8月10日に大統領府に招かれ、大統領選への協力を求められていたことを報じていた。
 この時の会談はカルラ・ザンベッリ下議の立会いの下で行われ、前大統領らが「電子投票機の脆弱性の証明」を求めたという。同氏は昨年11月に国防省に赴いたことも確認されている。パウロ・セルジオ・ノゲイラ前国防相は当時、電子投票の信憑性を疑い、軍による監査を選挙高裁に求め続けていた。
 今回の報道は、デルガッティ氏が通信大手TIM社の従業員の友人に、「モラエス氏の携帯電話のクローンを作れないか」と相談した録音を据えて行われている。相談が行われたのは昨年の9月14日で、デルガッティ氏は「ボルソナロ氏は既にモラエス氏と最高裁の側近らとの会話内容の入手に成功したという。彼はモラエス氏の会話を盗聴し、会話の内容から、電子投票の脆弱性やルーラ氏を有利にしようとしている発言を見つけ出して、モラエス氏を大統領選の選挙高裁長官の任務から外させようとしている」と語り、「ボルソナロ氏はその盗聴を行うことが僕の任務だと言った」と話した。
 デルガッティ氏はモラエス氏の携帯電話の番号と同じチップの複製を友人に求めた。だが、その友人がその申し出を断ったため、話が流れていたようだ。
 デルガッティ氏は2019年6月、元パラナ州連邦判事で当時法相だったセルジオ・モロ氏やデルタン・ダラグノル・パラナ州連邦検察主任(当時)の携帯電話の盗聴を行い、その内容をサイト「インターセプト・ブラジル」に渡した人物だ。モロ氏らが担当していたラヴァ・ジャット作戦の裏側を暴く「ヴァザ・ジャット報道」は、この盗聴ではじまった。
 VJ報道では、2014〜18年にモロ判事(当時)が検察官たちと強く癒着していたことや建設企業社長らの報奨付証言からルーラ(当時)元大統領に関する不利な証言を導こうとしていたことなどが発覚。それが響いて、収賄容疑などで実刑に服していたルーラ氏は、2019年11月に最高裁によって釈放された。
 デルガッティ氏は19年7月に逮捕され、20年10月に出所している。デルガッティ氏は現在のウニオン・ブラジルの前身の民主党(DEM)党員だったが、ヴァザ・ジャットで逮捕された後に除名されている。昨年の大統領選では、ボルソナロ氏との会合の前まで、ルーラ氏支持を表明していた。

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