【既報関連】ブラジル空軍は6日、ロライマ州ヤノマミ族居住地から金鉱夫の退出を促すため、6~13日の同州上空の航空機の航行規制緩和と犯罪者の取締開始を発表したと同日付伯字サイトが報じた。
この航行規制は、不法採掘した金の搬出や金鉱夫や資材の搬入に使われる航空機を取り締まり、金鉱夫退出を促すために始まった。
ロライマ州のヤノマミ族居住地は1月20日に行われた保健省の非常事態宣言以降、空軍を介した食糧や医療従事者の緊急輸送と共に、連警や治安部隊の増強も行われている。
大統領や保健省、人権省、法務省、先住民省のスタッフなどの視察や医療従事者、治安関係者の派遣後は1千人を超える先住民の救出、75トンを超える食糧配布、軍が居住地に設営した診療所では毎日60~70人が受診などの報告が続く。
他方、4日以降は連邦政府による締付けや処罰を恐れる金鉱夫達が、森や川を経て航空機発着場に集まる様子も報じられ始めた。6日発表の航行規制の一時緩和は、金鉱夫達を先住民居住地から完全に退出させるための措置で、フラヴィオ・ジノ法相は今週中に8割の金鉱夫が退出との見解を表明している。
金鉱夫を捕えるのではなく、退出させる動きには疑問の声もあったが、法務省や先住民省、環境省などは、行き場を失った金鉱夫が別の先住民居住地に侵入して不法採掘を再開したり犯罪増加を招いたりした前例を鑑み、規制を緩和した。
他方、連邦検察庁は同日、法務省や先住民省、空軍、民間航空監督庁に対し、先住民居住地内の不法な航空機発着場増加と公的施設使用例も含む不法な航空機の発着数増加などへの対策に関する情報提供を要請。不法な航空機航行は2021年以降、急増していた。
視察団第2弾として現場視察中のソニア・グアジャジャラ先住民相は6日、従来の報道は現実の姿を伝えきれておらず、「ヤノマミ族居住地の不法採掘は破壊的」と発言。土地や森林の破壊と河川汚染などがもたらした悲劇の様を強調した。
先住民相は「先住民族の戦いの日」の7日も、伯国では先住民居住地への侵入や森林伐採、不法採掘、保健衛生面でのアクセス不足などによる人道危機が蔓延中と明言。「先住民はもはや、栄養失調やマラリア、婦女子への暴行、自殺率の高さなどと共生できない」との表現で、近年特に悪化した違憲な犯罪行為蔓延という状況を終わらせる必要も説いた。