伯米首脳会談=米国もアマゾン基金に参加か=環境相も先行会談を実施=実現すれば大きな支援に

バイデン大統領(Official White House Photo by Adam Schultz)
バイデン大統領(Official White House Photo by Adam Schultz)

 10日にルーラ大統領(労働者党・PT)がバイデン米大統領と行う伯米首脳会談で、米国政府からアマゾン基金への支援が行われることが確実視されている。10日付現地サイトが報じている。
 首脳会談は現地時間の10日夜(ブラジリア時間の17時半から)、ワシントンDCのホワイトハウスで行われるが、その前から、今回の会談でバイデン大統領がアマゾン基金への協力を宣言することが確実との報道が相次いでいる。
 その根拠の一つは、バイデン大統領が2020年の大統領選の際に200億ドルに及ぶ環境問題対策費を約束していたことにある。
 もう一つは、今回の会談は両大統領のみならず、気候問題特別大使を務め、元国務長官でもあるジョン・ケリー氏がマリーナ・シウヴァ環境相との並行会談を行うことになっているためだ。ケリー特別大使はかねてよりアマゾン基金への協力を示唆していた上、COP27やダボス会議の席でルーラ、マリーナ両氏と会っている。ダボス会議では特に、ケリー氏とマリーナ氏の間で3回の会合が持たれている。
 アマゾン基金はノルウェーとドイツからの支援金が中心で、ペトロブラスなども協力。運営は社会経済開発銀行(BNDES)が担当していた。
 だが、ボルソナロ政権下のリカルド・サレス環境相(当時)の時代に法定アマゾンの森林伐採が急増する事態が発生。これにより、ノルウェーとドイツが援助を凍結していた。その後、ブラジルは米国に対してアマゾン基金への協力を求めたが、米国はボルソナロ政権の環境対策を疑問視し、応じていなかった。
 ルーラ氏が大統領に返り咲いてからはノルウェーもドイツも同基金への支援を再開(凍結を解除)したが、そこに米国が加われば、資金的にはかなり大きな援助となる。
 一部報道によると、米国のアマゾン基金への支援は南米地区の環境問題対策のはじまりにすぎず、その後に南米全体での大きな支援を行うのではないかと予想されている。その場合、南米全体への対策費用は40億ドルともいわれている。
 ルーラ政権も発足以降、環境問題対策には力を入れている。1月の法定アマゾンの森林伐採量は167平方キロメートルで、前年同期比で62%減、1月としては歴代でも4番目に低い数字を記録している。また、ロライマ州のヤノマミ族居住地では、国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)と国立インジオ保護財団(Funai)を軸に、金の不法採掘者(ガリンペイロ)の摘発や捜査も始まっている。
 また、今回の会議では、民主主義やウクライナ問題に関しても話し合われることが予想されている。
 民主主義に関しては両国とも、前任大統領による選挙システム攻撃が起きた上、米国は21年1月6日の連邦議事堂襲撃事件、ブラジルは今年1月8日の三権中枢施設襲撃事件のように、前大統領支持者たちによる攻撃も起きている。
 また、ウクライナ問題では、ルーラ氏がロシアの侵攻を批判しつつも、「平和を求める勢力」としての立場を主張するのではないかと予想されている。

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