ルーラ大統領は現地時間の10日夜、ホワイトハウスでバイデン米国大統領との会談を行った。ブラジル・メディアは会談前、この会談で米国政府によるアマゾン基金への協力が宣言されるのではないかと見ていたが、それは起きなかった。10~12日付現地紙、サイトが報じている。
ルーラ氏は大統領2期目(2007〜10年)に、バイデン氏がオバマ大統領の副大統領を務めていた縁で出会っており、互いに馴染みがある。そのため、バイデン大統領はルーラ大統領を抱擁と握手でにこやかに「おかえりなさい」と迎えた。
ホワイトハウス内の喫茶室「オーヴァル・オフィス」で行われた会談は、予定が15分だったところが話が弾んで50分にも及んだ。この会談の中では、環境問題や民主主義、ウクライナ問題などが話された。
ルーラ大統領はこの会談中、アマゾン基金に直接触れることをしなかったが、バイデン大統領に対し、「アマゾンはここ数年間、食糧確保のための森林開発を擁護し、先住民居住地での不法採掘を認めていた大統領によって汚染されていた」と主張。「2030年までに法定アマゾンでの不法伐採をゼロにしたい」とも語った。
ルーラ氏はさらに、「気候問題に関してはそれぞれの国の決断が必要だし、それをまとめる国際的な機会が必要だ」と訴えた。ブラジルは2024年にG20首脳会合を主催することが予定されている。
ルーラ大統領は会談後に米国によるアマゾン基金協力に関して、「そうなると思う」と答えている。
ルーラ氏と並行してワシントンDCで会議を行ったマリーナ・シルヴァ環境相は、米国の大富豪ジェフ・ベゾス氏と大物俳優レオナルド・ディカプリオと会い、アマゾンに関する緊急支援で合意を得たと報じられている。
また、両大統領は互いに、「民主主義の順守」も確認しあった。ルーラ大統領は「国内では政敵に対する虚報を撒き散らし、国際的にも孤立する方向性をとっていた」として、ボルソナロ前大統領を批判した。それに対しバイデン大統領は苦笑しながら、「私たちの国も似たようなものだった」とトランプ前大統領を揶揄した。
伯国は今年の1月8日に三権中枢施設襲撃事件が起き、米国は2021年1月6日に連邦議事堂襲撃事件に見舞われたが、バイデン大統領は「お互いの国で民主主義の存在が強く問われた。今は世界にとっても大事な時期だ。北半球と南半球を代表する我々が力を合わせて政治的な暴力を拒否していかなければならない」と語った。
また、ウクライナ問題に関して、ルーラ大統領は「ロシアのプーチン大統領の侵略行為には強い拒否感を示すが、国際紛争には干渉しないのが我が国の習慣」との立場を説明。平和を強く求めていく姿勢を示した。