サンパウロ市を代表する名門サンバチーム『モシダーデ・アレグレ』が18日にサンボドロモ・ド・アニェンビ会場にて行うパレードのテーマに戦国時代の黒人武士「弥助」を選んだと伯国カルナヴァレスコ紙サイトが9日付で報じた。同チームは、スペシャル・グループ(1軍)で10回も優勝している。弥助の生い立ちを独自のスタイルで表現するという。
報道によれば、弥助をテーマにしたきっかけは、チーム責任者のジョルジ・シルベイラ氏が2年前にアシスタントから弥助の存在を紹介され、カーニバルに使えるネタだと思い、調べ始めたところにあるという。西洋ではあまり知られていないが、東洋では有名で、英雄として語り継がれていることが分かり、弥助の歴史をパレードで表現するために弥助の生涯を調べるのに夢中になったという。
パレードでは、弥助が日本に奴隷として初めて足を踏み入れたときから、消息不明になるまでを表現する。「弥助は独特な個性を持っていて、とても注目された。500年前の日本が鎖国状態にあった事も紹介します」と語っている。
パレードは、「弥助の先祖の歴史」「弥助を知った日本」「十人力の剛力」「黒人の若者の心に生きる弥助の精神」の4つのパートに分かれて行われる。
「弥助の先祖の歴史」では、彼の出身地、モサンビークのバントゥー系民族の歴史を紹介。
「弥助を知った日本」では、日本に到着した頃の弥助を紹介。初めて黒人を見た戦国大名織田信長は肌に墨を塗っていると思い、着物を脱がせて体を洗わせたところ、彼の肌は白くなるどころかより一層黒く光り、驚いたという逸話などが残っている。
「十人力の剛力」では、信長に「弥助」の名を与えられ、正式に武士として認められ、私宅と腰刀を与えられた部分を紹介。
「黒人の若者の心に生きる弥助の精神」では、サンパウロの黒人の若者たちが、武士の勇気の鎧を着て、偏見や社会と戦っていることを表現するという。ジョルジ氏は「弥助の精神は若者たちの心の中に生きている。黒人の若者は弥助の勇敢な姿を見習い、果敢に生きてほしい」と熱い思いを語っている。