パンデミックも落ち着き、ようやくカーニバルが通常通りの2月開催に戻ってきた。今年は多くの人が開放感に満ち溢れたカーニバルを楽しまれたのではないかと思う。
ただ、そんな今年のカーニバルにもひとつ強烈な違和感があった。それは「寒さ」。2月といえば、北半球で言えば8月の真夏の時季に当たり、普通、1年でもっとも暑い季節のはずだ。
ところがこのカーニバル期間中、午前中こそ幾分汗ばむ気温にはなるものの、昼になると曇り、夕方にはにわか雨が降る。それ自体は、ブラジルの夏には珍しくはないのだが、問題は雨が降った後。ここから気温が戻らず、夜になると一気に冷え込むのだ。日によっては、長袖シャツが1枚欲しいほどに。
また、いったん降り始めたら、雨が予想以上に長い。気が付いたら夜の間中、ずっと降っていた日もあるほど。サンパウロ市カーニバルが行われた18〜19日の夜には、海岸部では記録的な豪雨も降った。
そして、今夏の場合、寒かったのはカーニバル期間中だけではない。夏に入る前、つまり昨年の11月、12月あたりから、ずっと気温が上がっていないのだ。例年なら最高気温が35度前後あっておかしくない夏のサンパウロ市。それが今年の場合、そういう日は月に数日しかなく、最高気温が20度をやっと越すくらいの、秋や冬の日のような天気の日の方がむしろ目立つくらい。他国がブラジルの夏に期待しているような陽気はこの夏はほとんどなく、曇り空の日がほとんどで「ここはロンドン?」と思いたくなるような日が続いている。コラム子のブラジル在住はまだ13年と長くないが、その間、このような夏はなかったと記憶する。
この原因となっているのは昨年9月からずっと続いているラニーニャ現象だだ。通常、9月はブラジルではまだ乾季なのだが、昨年9月の時点でサンパウロ市最大の水供給源、カンタレイラ水系への月間降水量は100ミリを超え、以降、毎月100ミリ以上を記録。12月には325ミリ、1月は196ミリ、2月も21日の時点で250ミリとかなりの量が降っている。2014年にはマイナス水位を記録するほどの大渇水となったカンタレイラ水系だが、現在の水位は、最高水位となる70%が目前に迫っている。
水不足の心配をしなくていいほどに雨が戻っていることはうれしい。だが、夏らしい行楽も楽しみたい身としては、今年のような夏はやはり物足りなさが残る。(陽)