日系旅行社「トレンディ・ツーリズモ」が企画するカーニバル体験企画の参加者26人は18日早朝、サンパウロ市アニェンビー区のサンボドロモでスペシャル・グループの「バロッカ・ゾナ・スル」のパレードに、豪雨にもめげず参加した。
17日21時にジャルジンス区のホテル前で集合、市が手配する参加者用バスで移動した。会場施設内に到着すると先に入場するチームがすでに隊列を作っており、参加者らは他チームの衣装などを見たり、交流をしたりしていた。
行進開始1時間前になると参加者らも隊列を組み、徐々に出発ゲートに近づいた。そこには多くの山車が置かれ、サンバチームの歌手が出場者に気合を入れる掛け声が響き渡っていた。「皆が主役だ!」との言葉に勇気づけられ、直前の祈りを捧げ、いよいよ出場者は眩しいライトに照らされた。
パレードは祭りでありながらも、採点競技でもある。緊張感漂う中、出場者らはいつも以上に体を大きく動かし、大声で曲を熱唱した。観客の眼差しと歓声を浴びながら、胸を弾ませ行進した。
開始10分、「ポツン、ポツン」と雨が降りはじめた。背筋に冷たいものが走る。数分後、会場は豪雨に見舞われた。前を見ることすらも困難な中、行進を続けた。
激しい雨の中、力強い歌声と打楽器隊が奏でる強力なリズムが響く。かえって仲間との連帯感は強まっていく。気づけば雨宿りをするため奥に避難していた観客らも客席に戻って、土砂降りの下で共にパレードを楽しんでいた。パレードが終わる頃、雨は止んでいた。
同企画に参加した神奈川育ちの佐野清香さん(36歳)は当地在住4年目で、カーニバルは2回目の参加。前回はアーラ(群部隊)として参加し、今回は山車の上に乗って出場。「アーラで行進するのも楽しいけど、山車の上から会場を見渡すと別の楽しみがあった」と話す。
市川隆幸さん(52歳、大阪府)は去年、観客席からカーニバルを見て、来年は参加したいと思い、今回初出場を果たした。「練習も全部出て、カーニバルの環境も楽しくてモチベーションがすごく高かった。今日自分の全部を出し切った」と枯れた声で話し、次回の参加を尋ねると目を輝かせて「ぜひ」と頭を縦に振った。
カーニバル出場のためだけに訪伯した林敏子さん(74歳、京都)は「たくさん厳しいルールがあったり、こんなに夜遅くまでずっと待たされたりするとは思わなかった。でも衣装を来ていざ会場に入ると、それ全部を忘れられるほど楽しめた」と笑顔で語った。
子供のアーラで参加した速水虎太郎くん(5歳)にパレードの感想を尋ねると「楽しかった。また参加したい」と重たそうな瞼をこすりながら話した。