連載小説=自分史「たんぽぽ」=黒木 慧=第138話

・六月十二日(水) 今日は「ジイア・ドス・ナモラードス」(恋人の日)で、みずえフローレスでも花の 売れ行きが母の日以上に良かったと喜んでいた。
・六月二十九日(土) 熟連(老ク連)の芸能祭が開催され、私達抒情歌のつどいからも十五人のメンバーでコーラスを歌った。〈旅愁〉〈花〉〈埴生の宿〉の三曲でハーモニカ伴奏、美佐子がタクトを振って好評であった。
・七月六(土)~七日(日)毎年七月の土・日曜日は国士館の桜祭りである。天気も良し。桜満開で、二万人の入場者で最高であった。我々コチア青年は例年の「やきとり」に加えて今年初めて「餅つき」を行い好評であった。
・八月十日(土) 私の持病で腰から足のつけ根にかけて時々かなりひどい痛みが起きることがある。椎間板ヘルニアとか脊椎狭窄症とか言われ、ブラジルではビッコ・デ・パパガイオとか呼んでいるようだ。骨と骨のクッションの役目をしている軟骨がすり減って神経を圧迫して起きるようだ。私は若い頃から重い物を持ったり、体の動きにかなり無理をして来たので、今後も再々起ることだろうと覚悟はしている。その度にマッサジスタに通う事になるだろう。
・九月九日(月)~十二日(木) コチア青年協議会主催で、サンタ・カタリーナ州へバス旅行を行った。サンジョアキンのリンゴ団地に、「日本のソメイヨシノ桜が咲くから花見においで」と細井たけしさんに誘われたので、私が世話役となり、この度は参加者の平均年齢七十五歳で、皆年老いて来たので、グローバル旅行社の世話でガイドを雇い、保険をかけて安心と楽しさに心がけた。それでも私が企画し、バスレイトを用意し、ホテルを予約し、参加者を募り、金を集め、行く先との電話交渉、天気の心配、道路の良し悪し等すべてに気を配りながらの旅であった。三十六人乗りのバスレイトで、最初に着いたラーモス移住地では白色の大島桜やつつじ、こでまり等が満開の中を歩き、サンジョアキンでは、ブラジルでは此処だけに咲くと言う日本のソメイヨシノ桜の満開に歓声を上げ、リンゴやブトウ酒等のおみやげを頂き、そして最後の訪問地インぺラトリス温泉ホテルでは豪華でゆったりした気分を味わって、皆、大満足の旅で、「これも黒木さんのおかげ、黒木さんに感謝、感謝」で私も嬉しかった。

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