連載小説=自分史「たんぽぽ」=黒木 慧=第142話

 二〇〇〇年に六十五歳で退職してからは趣味が生活の主体となり、私達夫婦は趣味も似ている点が多いので、出歩く時もほとんど二人一緒である。唯、美佐子は北辰会と言う日本の大阪に本社のある習字塾とつながりがあって、一応準教師の資格まで取得したけど、色々と制約が多い事を理由にそこを止めてしまった。さて、私の現在の対人のつき合いは、県人会とコチア青年連絡協議会がその主なもので,あとは趣味としてのつき合いが殆んどである。
 (五) 趣味……趣味と言えば、前にも書いたように夫婦共通のものが多い。その主なものはカラオケとマレット・ゴルフと旅行である。旅行についてはこのあと別の項目として書くことにする。まずカラオケである。私のカラオケは大会には殆んど出場せず、ヴァルゼン・グランデでの練習だけである。でも美佐子にとってのカラオケは、UPK(サンパウロ州カラオケ協会)から教授の資格を貰って、マイリンケとヴァルゼン・グランデで毎週水・木と教えている。自分で車を運転して出かけて行き、十五名位の生徒を指導している。スドエステ・カラオケ大会ではよく審査員にもなる。結構小遣い銭は稼いでいるようだ。私はカラオケ以外に二年前から抒情歌のつどいを立ち上げ皆から喜ばれている。毎月第三土曜日の午後一時から五時まで、二十五名位の愛好者が集って宮崎県人会のサロンで名曲を聴いて、合唱して、お茶の時間は雑談して、最後に抒情歌のカラオケを歌って、ほんとうに楽しいひとときである。私が世話役としてプログラム作り、DVDやCDの名曲集め、マキナも今里のエジソンからプレゼントされたものを使い、その他すべての心配りをしている。愛好者の皆さんはこの日の来るのが楽しみだと言ってくれるので、私も嬉しくて生き甲斐を感じる。さて、カラオケ以上に楽しいのがミニゴルフのマレット・ゴルフである。これはサンロッケの国士館スポーツセンターのマレット・ゴルフ場で毎週火・金・土・日曜とやっているけど平均して週に二回位遊んでいる。普通午後一時から始めて、三十六ホールを三回廻って六キロメートル位歩く。球技に夢中になっているので、歩いている事を忘れ、気がついてみるといつの間にか六キロメートルも歩いているのである。芝生の上を歩くのでひざ等にショックも少ない。四季折々の花、夏の暑さも木陰があり、いつもそよ風が心地よく、青空とすばらしい眺めに加えて空気もおいしく、健康管理には最適である。約九十分で三十六ホールを一廻りして少し汗を出し、そのあとの冷たいビールは最高である。

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