「国際女性デー」の8日、ルーラ政権は女性の権利を保障するために次の施策を発表した。伯字紙の多くは女性主役の記事が一面を飾り、国内での所得格差やフェミニシジオ(女性殺人)の増加を報じた。8日付G1サイト(1)などが報じている。
(1)「給与平等法」は昨年の大統領選のライバル候補だったシモーネ・テベテ氏の支持を取り付ける際、条件として求められたもの。「同じ内容の業務なら男女の給与を同額とし、守らない場合の罰則を重くする」というもの。IBGEの2022年末の調べでは、給与の男女格差は22%存在する。
さらに(2)SUSによる生理用ナプキン無償配布、(3)3億7200万レアルを投資して40棟の女性保護施設「ブラジル人女性の家」を建設、さらに女性保護に利用するパトロール車両270台購入と全伯配布、(4)連邦政府の雇用枠の8%を暴力被害を受けた女性に振り分ける。
加えて、(5)3月14日をマリエレ・フランコの日に制定して性や人種の差別防止の意識向上を図る、(6)暴力やハラスメントのない仕事環境を認めた初めての国際条約である国際労働機関(ILO)第190号条約を批准、(7)連邦行政における性ハラスメントやモラルハラスメントの撲滅、(8)SUSにおける女性労働者の性差別や評価に関する新基準作成、(9)活動停止していた託児所1189施設の業務再開などもある。
また(10)女性のための専門的かつ技術的な教育コースの枠を今後2年間で2万人分作る、(11)女性アスリートが出産休暇を取りやすくする法令、(12)女性映画監督が長編を制作しやすくするために1千万レアルの投資を約束、(13)科学や技術分野における女性進出を促すための国家政策に1億レアル投資も発表された。
一方、伯字紙は伯国の男女格差の問題の指摘を行っている。フォーリャ紙(2)の場合、1985年に軍事政権が終了して以降、三権の長を務めた女性が、大統領のジウマ氏と、最高裁長官を務めたエレン・グラシエ氏、カルメン・ルシア氏、ローザ・ウェベル氏の計4人だけで、上院や下院で女性議長が出ていないと指摘。現在の連邦政府の閣僚や各省内のトップクラスの人事で女性が高官をつとめているケースも33%にとどまっていると報じた。
G1サイト(3)では、2022年の女性殺害事件が過去最高の1410件で、6時間に1度のペースで起こっていると伝えている。