ブラジル将棋連盟(ジェームス・マン・デ・トレド会長)は2月25~26日、対面式将棋大会「第45回老中戦」をサンパウロ市ビラ・マリアナ区のブラジル日本棋院にて開催した。初日の早指し戦、2日目の本戦ともに浜公志郎さん(34歳、2世)が優勝した。浜さんは同連盟主催4大会の内、3大会で優勝し、3冠となった。
初日の早指し戦は持ち時間4分秒読み4秒、1手指すごとに一定時間が加算される「フィッシャールール」で行われた。14人が参加し、浜さんは7戦全勝。2日目の老中戦本戦は持ち時間15分秒読み5秒、フィッシャールールで行われ、18人が参加。浜さんは6戦全勝だった。
浜さんは「直近の大会の時よりも参加者の棋力が上がっていて驚いた。そうした中で優勝することが出来とても嬉しい。国内大会だけでなく、国際将棋対戦サイト『81道場』で行われている『World Shogi League』などの国際大会でも活躍できるように研鑽を続けたい」と語った。
浜さんは15歳の時、在学中だったミナス・ジェライス州の高校を休学して、日本へ渡り、日本将棋連盟関西本部研修会に入った。研修会は20歳以下のアマチュア有段者が入れる将棋研修機関。研修会の入会試験に合格したのは、ブラジル出身者では浜さんが初だという。研修会の成績優秀者はプロ棋士養成機関の奨励会に入会することができる。研修会在籍中はプロ棋士を目指したが、棋力が基準に達せず断念。帰国後も将棋を続け、現在は日本文化イベントでの将棋ワークショップの開催やオンライン教室の実施、自身のYoutubeチャンネルで初心者向けポルトガル語将棋動画を配信するなどして普及活動を積極的に行っている。
同連盟では2月に老中戦(対面)、5月に王将戦(オンライン)、8月に名人戦(対面)、11月に最強者戦(オンライン)を開催している。浜さんは直近の名人戦、最強者戦で優勝。王将戦優勝者の高嶋ロベルトさんは今大会には参加しなかった。
老中戦の名前の由来は、当地の将棋普及に貢献した故中林武衛氏の筆名「老中」に由来する。武衛氏は日伯毎日新聞社の創業者中林敏彦氏の父にあたる人物。第1回老中戦は1972年に開催され、当地将棋大会では珍しい駒落ち戦大会として好評を博した。参加者減少を理由に開催を一時中断していたが、今年復活。復活後は駒落ち戦大会ではなく、通常対局大会となった。
次回老中戦は優勝した浜さんの地元ミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンテ市で開催される予定。