サッカーのブラジル代表(セレソン)は25日、W杯後初の試合をモロッコ代表と行う。招集されたメンバーは、予想以上に面白い選手ぞろいで、今後のチーム展開が楽しみなものとなっている。
22年W杯のセレソン攻撃陣には、ヨーロッパの強豪クラブで活躍中の若手スター選手が並んだ。特に25歳のリシャルリソンにラフィーニャにパケタ、22歳のヴィニシウス・ジュニオルにアントニー、21歳のロドリゴにマルチネッリらから感じるチームの将来性にはワクワクしたものだ。彼らの存在は、次回W杯でも最も注目を浴びる魅力的なものだろう。
今回の招集では驚くべきことに、彼らに加えて、中盤にジョアン・ゴメス、アンドレ、アンドレイ・サントスといういずれも22歳以下の若い選手たちを加えてきた。新入の彼らからは、この10年近くセレソンの泣き所だった「中盤の弱さ」を克服してくれそうな予感がする。
セレソンの「中盤の弱さ」は、ブラジルの中盤のありかたと、現在の欧州の中盤のありかたの差に起因する。ブラジルは中盤を守備と攻撃でしっかり分け過ぎる傾向がある。欧州では守備も攻撃も行うオールラウンダー的な傾向が目立ち、10年ほど前だったら攻撃的ミッドフィールダーとして起用されたであろう選手は、ウイングなどフォワードのポジションに回る印象が強い。
新入の若手中盤3選手には、欧州サッカーに適応し、ブラジルサッカーを国際サッカーの潮流に乗り遅れさせないようにとの強い期待がかかる。
とりわけコラム子が強い期待をかけているのが、アンドレイ・サントスだ。まだ18歳の彼は、今年2月、U20(20歳以下)の南米大会にレギュラーとして出場しているが、通常、ボランチの守備的なポジションのはずなのに6得点を記録。異例の大会得点王となっている。
それだけではない。彼は昨年、2部リーグではありながらも18歳にしてヴァスコ・ダ・ガマのレギュラー選手としてほぼ全試合に出場。そこでも8得点を記録し注目されている。「試合を組み立て、しっかり守り、さらには点も取れる」。そんな選手が、本来の攻撃陣の後ろに控えているとなると、対戦相手にとっては間違いなく脅威のはずだ。
もうすでにイングランドの名門、チェルシーへの移籍が決定的なアンドレイだが、その大器の片鱗をモロッコとの試合で見せて欲しいところだ。(陽)