下院がルーラ大統領(労働者党・PT)に対し、過去最高となる総額463億レアルの議員割当金計上を求めて交渉する意向だと、13日付フォーリャ紙サイト(1)が報じている。
463億レアルにも上る連邦議員への割当金は、ブラジル史上最高額だ。議員割当金はパンデミックが発生した2020年に、これまでの最高額だった2017年の206億レアルから440億レアルに急増。それ以降も、394億レアル、356億レアルと額を落としながらも高止まりしていた。
議員割当金急増の理由となっていたのは、2020年から採用され始め、予算案審議時の報告官の裁量で支払われていた、「秘密予算」とも呼ばれる割当金だ。この割当金は、「与党側の議員に一方的に払われる」「使途が不明瞭」などの理由でかねてから反発が強く、2022年年末に最高裁で「違憲」との判決が下された。
アルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)やロドリゴ・パシェコ上院議長(社会民主党・PSD)は、2023年も194億レアルの支出が見込まれていた秘密予算の突然の違法判決に驚き、それを埋め合わせるための対処に追われた。
そこで行われたことは、まず、議員個人に対して行われる割当金の額を引き上げることだった。2023年はそれが過去最高の212億レアルに引き上げられている。2016年までの議員割当金は個人への支払いだけだった。
また、最高裁の違憲判決後に各省庁に引き継がれた秘密予算の残額98億レアルを、議員からの要求に応えるために使用することを連邦政府が既に認めている。ルーラ大統領はこれらの資金を、違憲判断前にリラ議長が再選キャンペーンで約束した割当金支出の約束を実現し、閣僚入りを依頼した政党や公営企業などの役職を希望する野党側政党の要請に応えるために充てようと考えている。
また、2017年から導入されたグループ(バンカーダ)毎の割当金に77億レアル、2020年から導入された委員会への割当金に76億レアルが使われる見通しだという。後者の2022年の支出額は4億レアルにすぎなかった。
2023年の議員割当金は高額だが、承認される公算は高いとみられている。その理由のひとつはリラ下院議長の存在だ。同議長は今年の議長選で、議員割当金の確保を公約に掲げ、圧倒的多数で再選を果たしている。
加えて、ルーラ政権の連邦議会での脆弱さも挙げられている。PTをはじめとした左派勢力だけでは過半数にさえ及ばず、閣僚を割り振った民主運動(MDB)、PSD、ウニオンといった政党も、今日に至るまで連立政権の支持取り付けを確保できていない状況が続いているためだ。