世界保健機関(WHO)による新型コロナのパンデミック宣言から3年が過ぎ、世界各地で規制緩和の動きがあるが、現場の関係者はまだコロナ禍の影響を感じている。また、ブラジルでは新型コロナに伴う重症急性呼吸器症候群(SARS、ポ語ではSRAG)の患者や入院者増加傾向が再び見られると11日付アジェンシア・ブラジル(1)(2)(3)などが報じた。
ブラジル初の感染者確認は2020年2月26日、最初の死者確認は同年3月17日だ。全国保健局長審議会(Conass)による4日現在(保健省のデータでは10日付)の感染者は3708万5520人、死者は69万9310人で、死者の内約1300人は医療関係者だ。
9日には20年収録のコロナ禍と戦う最前線の医療関係者に関するドキュメンタリー映画の一般公開が始まったが、感染第1波で翻弄された現場では、博士課程進学を諦め、集中治療室を含む緊急対応で最大120時間/週という激務に就いたとか、家族への感染回避のため車中やホテルで寝泊まりした、感染したことで免疫を得たとして最前線に戻ったといった例は多い。
他方、Conass発表の年毎の感染率は10万人あたり3672人、6935人、6682人、359人、死亡率は93人、201人、36人、3人、致死率は2・5%、2・9%、0・5%、0・7%だ(4)。これを見ると、マナウス株やオミクロン株で医療崩壊も起きた20、21年と、予防接種が進んだ22、23年では大きな差が出ている。
ただ、規制の緩和やカーニバルによる人出増が重なった上、早めに2度目の補強接種を終えた人は10カ月以上経っていた事などから、最近はこれまで感染していなかった人の感染例も増えている。
このことは、ここ数週間、アマゾナス州、サンパウロ州、セアラ州、リオ州などで新型コロナによるSARSの患者が増加中という、オズワルド・クルス財団(Fiocruz)の風邪様の病気に関する報告書でも明らかだ。同書によると、新型コロナの感染再拡大はマット・グロッソ・ド・スル州やパラー州でも起きており、SARSが増加傾向にある連邦自治体は18に上るという。
新型コロナによる入院増は大人中心だが、11州では接種率が低い子供や青少年でも新型コロナによるSARSが増加中だという。