16日付エスタード紙(1)が、殺虫剤の在庫が尽き、保健省がデング熱などを媒介するネッタイシマカ用の噴霧用薬剤を配布できずにいると報じた。
雨が多く、気温が高い時期はデング熱やチクングニア熱、ジカ熱を媒介するネッタイシマカが容易に増殖するが、ネッタイシマカの成虫を殺すために散布する薬剤は昨年中から不足。在庫ゼロの状態でスタートした現政権は、単一企業への依存回避の意味も込め、複数の薬剤を輸入しようとしているが、薬剤は船便で届くため、薬剤が底をついた状態が2カ月前後続くようだ。
殺虫剤不足に多雨が重なり、ネッタイシマカが増殖しやすい状態にあると懸念されているのはエスピリトサント、ミナス、トカンチンス、サンタカタリーナの4州だ。
だが、ネッタイシマカが媒介する病気の増加は全国的な傾向で、2月末現在の全国のデング熱患者は昨年同期を46%上回り、約10州で流行状態との報道もあった。チクングニア熱患者は142%増えているという。
デング熱が流行状態といえる一例はリオ市で、7日付G1サイト(2)によると、2日現在のデング熱患者1529人が6日には1858人に増えている。今年の感染学上第9週(2月26日~3月4日)のデング熱患者189人は、昨年第9週(2月27~3月5日)の27人の7倍だ。
サンパウロ市もやはり流行状態で、6日付エスタード紙(3)によると、3月4日までの9週間の患者は938人で、昨年同期の637人を47%上回っている。登録が完了している1月28日(第4週)までの数字は昨年同期比で110%増だが、同市では死者は出ていない。
だが、10日付G1サイト(4)(5)によると、アマゾナス州では1~2月のデング熱患者4300人中、1人が死亡。ミナス州でも9日に今年2人目のデング熱による死者が出ている。
5日付アジェンシア・ブラジル(6)はオズワルド・クルス財団(Fiocruz)がデング熱や気候変動に関する電子書籍を出したと報じているが、薬剤不足の中、溜まり水をなくすなどの自衛対策を徹底する必要がありそうだ。