サンパウロ市地下鉄の職員組合が23日0時からストを強行した。地下鉄公社は、組合との話し合いで午前8時過ぎに「無料入場にしてストを終わらせる」との合意をいったんはのんだ。だが労働裁判所がそれを認めなかった結果、組合はストを継続させ、結果的に市民の混乱が長引いている。 23日付G1サイト(1)などが報じている。
職員組合は23日午前0時からストに入り、サンパウロ市地下鉄1号線、2号線、3号線、モノレール15号線の運行を止めた。
組合は公社に対し、派遣会社への業務委託の中止や危険を回避するための対策強化、2020〜22年にかけてのパンデミックで影響を受けた分の給与を補填するためのボーナスの支払いなどを求めて、数週間前から繰り返し交渉をしていたが、公社側が譲歩する姿勢を見せないことから、スト決行を決めた。
組合側は前日から「無料入場にすればストを止める」と約束。無料入場させれば、市民は移動できるので迷惑をこうむることがなく、収入が入らない公社にはダメージが大きい。公社側は無料入場化で利用者が激増した場合のリスクを考慮し、当初は却下していた。だが23日朝8時の会合で公社側がこの要求を受け入れることを決めたため、組合は11時には全職員が職場に戻ると宣言していた。
ところが、労働裁判所は午前10時過ぎにこの合意を却下。警備の安全面を考慮して、「業務に戻る場合は料金を課し、ピーク時は80%、その他の時間も60%の職員が業務に就くように」との命令を下した。
労組側がこの判決を不服とし、スト継続を決めたため、13時を過ぎてもストの対象となった駅の扉は開かなかった。
このストのため、市内の交通では混乱が続いた。CPTMには地下鉄を利用できない人たちが殺到。各駅が人でごった返す事態となった。
バス会社も、1号線のトゥクルヴィ駅やサンターナ駅に臨時の特別線を作り、特定路線を増強するなどして地下鉄利用客への対応に追われたが、無理に乗り込もうとする人のせいで多くのバスが遅れた上、満員のバスが新たな乗客を乗せられずに停留所を通過するなど、市内全域で混乱が続いた。