《街角ちょっと見》憩の園で自己実現の日々

書道をする入居者らと潮さん(左後ろ)

 「ここにいるとブラジルに来ているっていう感覚ないですね。自分のために来ているっていう感じで、自己実現に近い日々が送れるんですよ」――そうしみじみ語るのはサンパウロ州グアルーリョス市の高齢者福祉施設「憩の園」に、東京から年2回もボランティアで来ている潮ミツヱさん(83歳、東京都出身)だ。
 潮さんは元々、東京都にある高齢者福祉施設で働き、2009年から2年間JICAボランティアとして憩の園に派遣された。そこでこの施設が気に入り、自費で毎年2回もやってくるようになり、半年間滞在することも。入居者らと一緒に、バザー販売用の手工芸品や折り鶴作りをしながら日々を送っている。
 「ここは本当に気候が高齢者向きで、自分がしたいことをさせてもらっている。時間が経つのが早い」という。パンデミックの際は日本に帰れなくなり、1年半以上滞在した。「日本の3人の子供たちも、憩の園に居るのが一番安全と勧めてくれ、私もその通りと思って、入居者の様に過ごさせて頂いて居ました」との驚きのエピソードも。

 今年は1月10日に来伯し、用事があるために25日にいったん帰国するが「また来ます」とのこと。「どこがそんなに気に入ったのですか」という記者のぶしつけな質問に、「難しいことを言わずに受け入れてくれる太っ腹なところですかね」と笑みを浮かべた。(深)

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