ルーラ政権が連邦議会に対し、ボルソナロ政権時代に出された、「法と秩序の保証(GLO)」作戦に関わった軍人や治安関係者の刑罰免除法案を取り下げることを求めている。さらに、現役軍人の選挙戦出馬や閣僚就任を規制する法案も準備していると言われている。4日付G1サイト(1)などが報じている。
ルーラ政権が取り下げを求めているのは、ボルソナロ前大統領が2019年に連邦議会に提出した法案だ。この法案には当時のセルジオ・モロ法相、ジョルジェ・オリヴェイラ大統領府総務室長官、フェルナンド・アゼヴェド国防相も署名している。
その法案によると、GLOが規定した捜査や作戦、例えば、組織犯罪対策や大型国際行事などに従事した軍人や治安関係者が、殺人などの刑法に触れる行為を行った場合は、刑罰が免除されるというものだ。
この法案では特に、「テロ行為に直面した場合」「死や負傷の危険性がある場合」「大きな威嚇とともに標的にされ、自由が規制される場合」「相手に銃器を使われた場合」、軍人などが殺害行為などを犯しても刑が免除されることが定められている。
この法案では、軍人などはこのような場合に殺害などを犯しても現行犯逮捕されないことも規定されている。その一方、その軍人に明らかに殺害の意図があった場合には刑罰もあり得るとしている。
ただ、問題となるのは、この法の適用範囲だ。例えば、2017年、当時のテメル大統領は大統領官邸前で自身の辞任を求める抗議運動に対してGLOを適用し、軍に警備を求めた経緯がある。また、暴力的とは判断しかねるような抗議運動で、軍警が一般市民に発砲、殺害して問題となったケースもあり、問題となっている。
フラヴィオ・ジノ法相は、この法案の取り下げを求めており、6日付官報にも掲載された。同法案の処遇はアルトゥール・リラ下院議長の判断にかかっている。
一方、6日付エスタード紙によると、ルーラ政権はGLOに関連する刑罰免除法案の取り下げに続いて、軍人の政治活動を規制する憲法改正法案(PEC)を準備しているという。それは、現役軍人が選挙戦に出馬する、あるいは政府の官僚になる場合は退職して予備役となることを義務付けたものだ。
現行の憲法では、従軍が10年以上の軍人が選挙に出馬して落選した場合は軍に戻って業務ができるとなっているが、これが認められなくなるという。
また、官僚就任に関しても、憲法87条に補則を設け、現役軍人の場合は退役することを義務付けようとしている。ボルソナロ政権下の軍人閣僚の数は軍事政権を上回っていた上、現政権発足当時も6157人の軍人が公職に就いていたなど、軍人の政治参加が目立っていた。
軍人の政治への関与に関しては2021年のダッタフォーリャの調査でも58%の国民が反対するなど、かねてから不評だった。