ルーラ大統領が11日に中国とアラブ首長国連邦のアブダビ首長国訪問の旅に出ると6日付アジェンシア・ブラジル(1)、7日付G1サイト(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)などが報じた。
訪中は3月末の予定だったが、肺炎のために延期されていた。今回の訪中はブラジルにとって最大の貿易相手国との関係強化と共に、国際社会でのブラジルの位置再確立の意味がある。
両国の立場はルーラ氏が前政権で訪中した2009年以降、大きく変わった。09年と22年のブラジルの国内総生産(GDP)は1・7兆ドルが1・9兆ドルにと12%弱伸びただけだが、中国は4・9兆ドルが17・5兆ドルに257%成長。中国は工業化が進んだが、ブラジルは再工業化の必要が叫ばれている。
このことは貿易や投資の在り方にも影響を与えている。ブラジルからの輸出は202憶ドルが894億ドルで4・4倍となったが、中心は農産物や鉄鉱石などの一次産品だ。輸入は159億ドルが607億ドルと3・8倍に増えたが、中心は付加価値が高い工業製品だ。
また、中国からの投資も、同国の技術力をブラジルの経済活性化に結び付けようとするものが多い。ルーラ氏が6日に明かした、バイア州内のFordの工場を中国の電気自動車製造会社が運営するという話もその例だ。ブラジルの電気自動車化は大幅に遅れている。
他方、ルーラ氏は中国からの投資は歓迎するが中国企業によるブラジル企業買収は好んでいないとし、新たなものを創り出すための投資や協力を望んでいる。
このことはルーラ氏が中国滞在中に交わされる合意などにも反映されるはずだ。ルーラ氏は12日に中国に到着。13~14日はジルマ元大統領の新投資銀行総裁就任式や習近平国家主席、李強首相との会談に臨む、公式会談では、二国間協定への調印やウクライナでの和平交渉のための連合形成などが話し合われる予定だ。
訪中にはハダジ財相の他、ロドリゴ・パシェコ上院議長、ファウスト・ピント・ブラジル/中国議員前線会長、ランドルフェ・ロドリゲス連邦議会政府リーダーら、約40人の連邦議員が同行する。アルトゥール・リラ下院議長も同行する予定だったが、6日に手術を受けたため、国内に留まる。
ルーラ氏は15日にアブダビに向かい、16日に帰国する。