タルシジオ・デ・フレイタス・サンパウロ州知事(共和者・RP)が10日、サンパウロ水道公社(Sabesp)やCPTM(パウリスタ都電公社)全線の民営化に関する検討をはじめた。同知事は就任以来、州民からの評価が高いが、民営化に関しては州民の意見が割れている。11日付CNNブラジル(1)などが報じている。
タルシジオ知事は10日、州庁舎で行われた会議で、「Sabespの民営化は国最大の目玉だ」と語っただけでなく、「連邦政府で『民営化』という言葉がタブーになっているとすれば、サンパウロでは合言葉になっている」とまで語った。
10日はルーラ政権が発足100日目の節目に閣僚全員を集めて会議を行ったが、タルシジオ知事も局長クラスを全員集め、会議を行った。
タルシジオ氏はさらに、この民営化に関しては内外で「10兆ドルのインフラ投資が可能になる」と語り、「民営化といっても、サンパウロ州政府が株主として参加を続けることもできる」とした。現在のSabespの株式は50・3%が州のもので、49・7%が民間所有となっている。
同知事はCPTMの民営化に加えて、ジュンジアイ経由でカンピーナスとサンパウロ市を結ぶ普通電車と急行を備えた都市間列車 (TIC) の民営化にも強い意欲を示している。「伯国では事業をしていないが、プロジェクトに関心を示している 4つの企業グループがある」と述べたが、社名や国名は明らかにしなかった。
だが、これらに関して問題がないわけではない。ダッタフォーリャが今月初旬に行った世論調査によると、サンパウロ州民の53%はSabespの民営化に反対。賛成はまだ40%で無関心が1%、「わからない」が6%となっている。
反対はルーラ大統領の支持者の間でより強く、6割以上が反対しているが、タルシジオ氏の支持者の間でも、賛成48%、反対46%と拮抗している。
州民の49%は、民営化を行った方が水質や下水システムなどの質が「向上する(25%が「きわめて」、24%が「少し」)」と思っている。だが、反対者に学生(65%)、公務員(59%)、失業者(54%)が多いことからも推測できるように、雇用面での懸念が強いことがわかる。
CPTMに関してタルシジオ知事は10、11、12、13の各線と、将来的にサンパウロ市と大サンパウロ市圏のグアルーリョスとをつなぐ線として建設予定の14号線を民営化の対象と考えている。だが、このところ、既に民営化を始めた8、9号で事故や混乱が相次いでいることが懸念材料とされている。
ダッタフォーリャが4月に行った調査では、タルシジオ州政府の評価は「よい」が45%と高かった。だが、「期待したほどの政治をしていない」も45%と同様に高い状況でもある。