高山真澄アルベルトさん（４０歳、２世）と妻タビタさん（３９歳）が昨年４月、京都市立体育館で行われた春の全国審査会（剣道昇格審査）に参加し、同時合格を果たした。真澄さんは７段、タビタさんは６段になった。「外国人夫妻が同時に高段位合格を果たすのは珍しい」として、月刊専門誌『日本剣道』５月号に５ページにわたるインタビュー記事が掲載された。高山夫妻は晴れてブラジル最高位夫婦となった。
真澄さんはブラジル三井物産の社員として、パンデミックの真っ最中の２０２０年１１月から東京で仕事をしており、せっかくの機会なので「日本に居る間に昇段審査で合格しよう」と考え、合間をみて剣道の稽古に励んでいたという。
訪日時に真澄さんは６段、タビタさんは５段だった。それまでは二人ともブラジルで段審査を受けていた。同誌の取材に真澄さんは、審査を受ける人数がブラジルよりケタ違いに多く、さらにレベルが全然違うことに驚いたと語っている。
だが真澄さんは４回目の審査で７段に、タビタさんは５回目で６段に合格した。タビタさんの審査日が１日早く、先に合格していた。同誌の中で真澄さんは「すごいプレッシャーだった。これで私が落ちたら（笑い）」という状況で見事夫婦合格を勝ち取った。
真澄さんは父の勧めで５歳頃から剣道を始め、６段までは全て１回で昇段を決めた。現在の７段がブラジルでは最高位だ。三人兄弟の長男で、次男も６段、三男も５段、３人とも世界大会にブラジル代表として出場した経験を持つ。父も４段という剣道一家だ。
タビタさんとも剣道がきっかけで知り合った。タビタさんはテコンドー、空手やカンフーなどでも豊富な経験を持つ武道家で、２０歳から剣道を始めた。チリ生まれのブラジル育ち。当地で教育を受け、ＩＴのプログラマーとして活躍するキャリアウーマンでもある。リベルダーデ界隈に住んだことから東洋文化に惹き付けられ、剣道と出会った。剣道６段はブラジルでは女子最高位。
父の直巳さんは「オヤジだけが遅ればせながら還暦近くなって剣道を始め、現在４段にまでこぎつけましたが、息子たちがまるでエベレストの頂きのように見えます」としみじみ語った。
ブラジル剣道連盟の蛯原忠男会長も、「日本で夫婦そろって昇段審査に合格するのは珍しい」と手放しで喜んだ。
