ルーラ大統領(労働者党・PT)は12日から中国を訪問。13日は、BRICS諸国内で流通するドルに代わる通貨導入の可能性について触れた。13日付G1サイト(1)が報じている。
ルーラ大統領はジャンジャ夫人やロドリゴ・パシェコ上院議長(社会民主党・PSD)らを伴い、現地時間の12日23時30分(ブラジリア時間12日11時30分)に上海に到着した。今回の中国行きは、3月末の予定だったが、ルーラ氏が直前に肺炎にかかったことで2週間遅れとなった。
今回の訪中の最大の目的は中国との商業に関する取りまとめだ。大統領は行くことができなかったが、ブラジルの企業関係者の多くは、当初予定されていた3月末の時点で中国に渡り、20以上の民間協約が結ばれた。また今回、ロシアとウクライナの紛争に関してどういう態度をとるかについても話し合うと予想されている。
13日、大統領は別名「BRICS銀行」とも呼ばれる新開発銀行(NBD)の頭取に就任したジウマ元大統領を訪れ、延期されていた彼女の就任式に出席した。
ルーラ氏は席上、NBDのことを「これまでの因習的な経済的な支配下に置かれていた新興国に自由を与えうる、大きな潜在能力を持っている」と褒める一方、「こうした銀行には忍耐が必要だ。これまでは、国際通貨基金(IMF)やその他の国際的な銀行が第3世界に貸付を行う際、それらの国がまるで人質にでもなったかのような雰囲気になっていたものだ」と注文もつけた。
ルーラ氏はBRICS国間の国際貿易において、ドルに代わる通貨を使用することを擁護し、貿易で自国通貨を使っても「中央銀行は確かにそれを処理することができる」と述べた。さらにルーラ氏はさらに、「ブラジルや中国、あるいは他のBRICSの国々と貿易を行うのに、独自の通貨を持って何か悪いことがあるか? 今までは実現が難しかったのは、単一の通貨を使うのが当たり前という、古くからの悪い思い込みがあったからだ。もう21世紀になっているのだから、頭を上げて、互いを助け合うつもりでこれまでとは違ったことをやらないと」とその必要性を説いている。
ルーラ大統領はこの後、テック企業の世界的大手「ファーウェイ」の本社を訪れ、同社の5Gシステムなどについての説明を受けた。ファーウェイは米国政府から訴訟を起こされ、逮捕者も出るなど、現在の米国と中国の対立の原因のひとつとなっている企業でもある。大統領はさらにその後、電気自動車大手のBYDとも会合を行っている。
大統領は14日、習近平国家主席らと北京で会談を行う予定だ。