中国を訪問中のルーラ大統領は現地時間の15日、北京で習近平国家主席と会談を行った。大統領は中国とのさらなる関係強化を強調し、貿易関連を中心に15の協定に調印した。14日付フォーリャ紙(1)などが報じている。
ルーラ大統領は現地時間の14日16時30分(ブラジリア時間3時30分)に北京の天安門広場の西側にある人民大会堂に到着した。会堂の前の広場には護衛の兵隊が並び、両国の国歌が鳴り響くだけでなく、小型のブラジル国旗を持った子供たちが待ち構えるという盛大な演出の中で、ルーラ氏は習近平国家主席に迎えられた。
ルーラ氏は歓迎後の挨拶で「子供たちが盛大に迎えてくれたことに感動した」と述べた上、「中国とブラジルの関係を貿易上のもの以上にしたい」と語った。
大統領はさらに「伯国におけるエネルギー部門の開発政策を構築するためのパートナーシップを築いていきたい」と述べた。また、前日(13日)に同国のテック大手のファーウェイの本社を訪れたことにも触れ、「中国との関係において偏見がないことを世界に示した」と発言した。
この発言は、ファーウェイの存在が米国政府から問題視されていること、ルーラ氏がバイデン大統領から求められた、ウクライナとロシアとの紛争でのウクライナへの協力を断ったことも加わり、米国政府を刺激する可能性があると報じられている。ルーラ大統領はウクライナ問題に関し、中国などと共に平和に向けた解決策を求めたい考えで、今回の会談でも議題の一つと予想されている。
その後、ルーラ大統領は大会堂内で、二国間協定や覚書15件の調印を行った。ブラジル財務省は今回の協定締結を通し、500億レアルに及ぶ投資を受けられると期待している。
協定の中で特に注目されているのは公私共同でのインフラへの投資で、とりわけ、衛星「CBERS―6」の共同開発は目玉となっている。同衛星はアマゾンでの森林伐採の状況を調査することをはじめ、環境関係での用途が期待されている。
また、公共テレビを通じてブラジルと中国の公的情報を流すことに関する協力、工業界の開発・投資に関する協力や社会・農村開発と飢餓撲滅に関する協力、両国の科学技術省が行う調査やイノベーションでの協力などが確認された上、ブラジル牛が狂牛病で中国側の輸入禁止措置を受けたことを受けての産動物性たんぱく質生産・輸出時の衛生基準や輸出停止期間に関するプロトコルの内容の確認も行われた。
ただ、かねてから注目されていた、バイア州にある米国フォード社の自動車工場跡地に中国の電気自動車大手のBYD社の工場を建設する件に関する協定は、フォードとの合意が得られていないことなどから締結が見送られた。