財政均衡法案、18日に連邦議会に提出=リラ「来月10日までに投票」=制限対象除外など懸念あるも

法案受け取りの瞬間(Ricardo Stuckert/PR)
法案受け取りの瞬間(Ricardo Stuckert/PR)

 18日、これまでの歳出上限法に代わる連邦政府の財政均衡法案「アルカボウソ・フィスカル(税の枠組みの意)」が連邦議会に提出された。来年以降定められる支出制限から13項目が除外される(3月公開時より2項目増加)が、アルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)は5月上旬には投票にかけたいとしている。19日付G1サイト(1)などが報じている。
 財政均衡法案は、これまでの歳出上限法が連邦政府の際限ない支出を抑制する一方で、教育や保健など国民の希望の強い部門での支出や投資などが制限されることを改善するために提案されたものだ。
 この法案は2024年をめどに基礎的収支の赤字をゼロにすることを前提に作られている。連邦政府の支出は前前年の7月から前年の6月までに増えた歳入をインフレ調整した後の70%以内の増大が認められるが、歳入増が期待されたほどではなかった年は増大が50%までに抑えられる。
 年間の支出増大は経済状況が良好な場合は最大でインフレ率+2・5%、逆に経済成長が減速した場合にはインフレ率+0・6%にするなど、経済状況に応じて変動する方式を取っているが、常に最低0・6%の実質増が認められることになる。また、支出の最低限度額が定められており、2023年の場合は700億レアルとなっている。
 同法案は3月30日にフェルナンド・ハダジ財相(労働者党・PT)とシモーネ・テベテ予算企画相(民主運動・MDB)から発表された際、良い評価を受けており、市場の反応も良かった。だが、今週になって、市場の反応がやや微妙なものに変わりつつある。
 それは、13項目が支出制限の対象外とされたことだ。一例は臨時のクレジットで、戦争や内乱、非常事態などの例外的支出が含まれ得る。この項目は新型コロナのパンデミックの際にも使われた。
 また、天然資源の開発から生じるロイヤリティを含めた、州や市に対する資金や連邦資産売却に伴う連邦機関の譲渡も制限の対象外となっている。近年はプレ・サル(岩塩層下油田)開発に伴う移転が大幅に増えている。
 さらに基礎開発教育基金(Fundeb)などの教育や保健関係、気候変動、環境関係の支出も対象外となっている。
 この除外に対する市場の受けは必ずしも良いものではなく、18~19日はサンパウロ平均株価指数(Ibovespa)が下がっている。ドルも5レアルを割っていたが、19日は再び5レアル台に乗っている。
 また、フォーリャ紙によると、新法案では連邦政府は財政目標達成のために資金調達を凍結させる義務を解かれており、その点への反応も注目される。
 法案を受け取ったリラ下院議長は、「可能ならば、5月10日までに投票にかけたい」と語っている。同議長はアルカボウソについて、「全般的に信頼している」「良い結果を信じている」と発言。「透明性の強い、穏やかな議論を期待したい」とも述べている。

最新記事