中銀総裁「下げ時は不明」=上院で高金利維持を力説=与党政治家批判、株価下落中銀総裁

25日のカンポス・ネット総裁(Lula Marques/ Agência Brasil)
25日のカンポス・ネット総裁(Lula Marques/ Agência Brasil)

 中銀のロベルト・カンポス・ネット総裁が25日、上院で行われた公聴会で高止まりしている経済基本金利(Selic)を擁護し、「下げる時期がいつなのかはわからない」と発言。だが、この発言後、株価が下がるなど、否定的な反応が起こった。25日付フォーリャ紙(1)などが報じている。
 カンポス・ネット総裁はこの日、上院で行われた経済問題委員会(CAE)に出席。この場で、13・75%で固定されたままのSelicに関して説明などを求められた。
 同総裁は、「財政収支にとっての魔法は存在しないことを皆、覚えておいた方が良い」と語り、中銀が採っている通貨政策を擁護した。同総裁は英国の例を挙げ、リズ・トラス前首相が早期に退陣することになったのは、前任者のボリス・ジョンソン元首相が行った税金引き下げと公的支出増大という、経済のシステムを無視した無理な対策が原因であったと主張した。
 さらに、ルーラ政権が準備中の財政均衡法に関し、「財政赤字を減らす方向性としては正しい」としながらも、かねてから主張していた通り、「だからと言って、それが金利を引き下げるために機能するわけではない」と繰り返した。
 同総裁はSelicに関して、「もし、2022年は選挙年だからと言って金利を上げずにいたら、昨年のインフレは10%を超えてしまい、Selic18・75%まで上げる必要が生じていただろう」とし、Selicを下げないことへの批判に反論し、中銀の独立性を示した。
 また、不履行となった債務の回収率が低いことや公共支出の量や現在の物価上昇率についても言及しており、Selicを下げる時期に関しても「わからない」と答えた。
 こうしたカンポス・ネット総裁の受け答えに対し、ルーラ政権側の上議は苛立ちを隠せなかった。シジ・ゴメス上議(民主労働党・PDT)は席上で、同総裁がボルソナロ政権時に就任した総裁であると主張。また、サンタンデール銀行の帽子を取り出し、「辞任してこっちに戻れ」と、同総裁が18年所属した銀行を皮肉った。
 また、ファビアーノ・コントラト上議(労働者党・PT)も、「米1キロや牛乳1リットルの値段はご存知か? ファリア・リマ(大企業が集中するサンパウロ市南部の大通り)から出てきて、一番貧しい層が苦しんでいることを見たらどうか」と迫る一幕も見られた。
 この日のカンポス・ネット総裁に対しては、ボルソナロ政権で科学技術相を務めたマルコス・ポンテス上議(自由党・PL)のように誉めたたえる上議もいた。だが、市場の受けは良くなく、25日のサンパウロ平均株価指数は0・70%下がって10万3220ポイント、ドルも0・47%上がって5・063レアルとなった。
 今月上旬に行われたダッタフォーリャの調査では、ルーラ大統領がSelicを下げるよう圧力をかけていることに対し、80%が賛意を示していた。CAEの後は、ネット上では総裁辞任を求める運動も起こっていた。

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