ボルソナロ前大統領(自由党・PL)は26日午前、ブラジリアの連邦警察で、三権中枢施設襲撃事件に関する事情聴取を受けた。ボルソナロ氏は事件後に選挙システムを疑う投稿を拡散したことに関し、「無意識にやった」と答え、担当弁護士が「処方していたモルヒネによるものだ」と語った。26日付G1サイト(1)などが報じている。
ボルソナロ氏への事情聴取は最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事が命じたもので、26日の午前8時50分から2時間30分ほどにわたって行われた。
この日の質疑応答で最も注目されたのが、前大統領が襲撃事件の2日後の1月10日に拡散した、具体的証拠をあげずに選挙システムを疑問視する内容の動画だった。ボルソナロ氏のアカウントに掲載された動画は約2時間後に削除されたが、この動画の存在は、三権中枢施設襲撃を命じたのはボルソナロ氏なのではないかと疑われる要因の一つとなっていた。
ボルソナロ氏はこれに対し、「後で見ようと思って保存しようとしたが、操作を誤って拡散させてしまった」と説明した。
この発言に関しては、ボルソナロ氏の担当弁護士のパウロ・クーニャ・ブエノ氏が証言終了後に連警の外で行った会見で、「ボルソナロ氏は1月9日から10日にかけて、腸閉塞のため、(滞在先のフロリダ州オーランドの)病院に入院していた」「その際に投与されたモルヒネが行動に影響したのだろう」とし、誤った拡散についての自身の見解を語った。
この会見には、ボルソナロ政権で社会通信局長を務め、ボルソナロ氏の広報役として知られたファビオ・ワインガルテン氏が同席。同氏は「(ボルソナロ氏のネット部隊のリーダー役だった)次男のカルロス氏が拡散したのでは」との質問に対し、「その可能性はない」とし、ボルソナロ氏自身の行動であったことを主張した。
また、ブエノ弁護士は、「ボルソナロ氏はフロリダでの休暇を終えた時、大統領選は過去のこととしており、選挙が不正に行われたとしても選挙結果を否定する発言は行っていない」とも語っている。
ボルソナロ氏は今回の事情聴取では、連警が求めた他の質問にはほとんど答えていないという。だが、「必要とあれば、次回も事情聴取に応じる」との発言もあったという。
ボルソナロ氏は3月末に米国から帰国後、これが2度目の連警出頭となった。1度目はサウジアラビア政府から違法な形で渡された高額な宝石などを含むプレゼントについて、証言を求められてのものだった。
襲撃事件に関するボルソナロ氏の取り調べは、1月から拘束が続いている前法相のアンデルソン・トレス容疑者次第だと見られている。トレス氏の自宅からはルーラ氏の当選を無効にする法律の原案が発見された上、連邦直轄区保安局長としての不作為などが問われている。トレス氏は現在、体調悪化で釈放を求めているが、認められない状況が続いている。24日付CNNサイトは、ボルソナロ氏はトレス氏が報奨付証言に応じることを非常に恐れていると報じている。