4月30日、パラグアイで大統領選が行われ、現与党コロラド党のサンチアゴ・ペーニャ氏(44)が圧倒的大差で当選を果たした。同日付フォーリャ紙(1)などが報じている。
事前の予想では、中道左派・中道右派による野党連合代表の弁護士エフライン・アレグレ氏(60)との接戦が予想されていたが、蓋を開けてみれば、42・7%対27・5%と、約15%ポイントの大差をつけ、同党にとって25年ぶりの圧勝となった。
ペーニャ氏はカルテス政権で財相を務めるなど、経済畑で知られる人物で、台湾との国交維持派としても知られている。今回の勝利の背景には若者を中心に支持が広がったことがあると見られている。
コロラド党は独裁者とも称されたアルフレド・ストロエスネル大統領(1954〜89年)の時代以降、2008〜12年のフェルナンド・ルゴ氏(12年に議会により更迭)の政権を除き、70年もの間、同国で与党であり続けている。
今回の選挙は統一選で、コロラド党は大統領選で勝利したのみならず、20年ぶりに上院で過半数の議席を取り戻し、17州中13人だった知事も、15人に増やしている。
また、3位には同国で「パラグアイのボルソナロ」とも称されているパラグアジョ・クバス氏が、22%の支持を受けて入った。同氏は2019年に警察を襲撃した姿を録画、拡散されたことで上議を罷免され、「10万人のブラジルからの移民を殺すべきだ」と発言するなど、騒動を起こしている。今回の選挙結果に対しても、「不正が行われた」と証拠も上げずに抗議している。
クバス氏の政党「クルザード・ナシオナル」は、初めて上院で議席を獲得し、下院でも議席を五つ増やしたが、当選者の中には未成年少女への強姦の嫌疑で一時拘束を受けた人物も含まれている。
南米ではここ数年、チリやコロンビア、昨年のブラジルと左派政権が立て続けに成立していた。それに逆行するように、パラグアイは南米きっての保守の牙城としての位置づけを強固にする選挙結果となった。
当選直後、ルーラ大統領はすぐにペーニャ氏の当選を祝っている。任期は8月15日からの5年間で、再選は禁じられている。