神戸でブラジル移民祭2023=CBKが4年ぶり、130人

CBKの学習支援教室での経験を話すジェンジス・勇剛さん

 【神戸発】神戸市中央区の市立海外移住と文化の交流センターで4月29日、新型コロナウイルスの感染拡大で中止していた「ブラジル移民祭2023」が4年ぶりに開催された。約130人の日本人や在日ブラジル人らが参加し、移民の歴史を学んだ。
 移民祭は、1908年4月28日にブラジルへの移民が初めて神戸港から出発した日に合わせ、神戸市のNPO法人・関西ブラジル人コミュニティ(CBK)が毎年実施。兵庫県国際交流協会が協力し、今年で18回目となる。CBK代表の松原マリナさん(69)は冒頭で、「移民の子孫が今、日本で頑張っている。今日は多くの人が集まってくれてうれしい」とあいさつした。
 CBKは、仕事を求めて1990年初め頃から来日した日系ブラジル人やその子どものために、20年以上にわたって母国語のポルトガル語と日本語の学習支援を続けている。この日は、CBKの学習支援教室で学んだ2人が経験を発表した。
 両親がブラジル人で、日本で生まれた兵庫県西宮市のジェンジス・勇剛(ゆうごう)さん(18)は、今春、大阪教育大に合格した。以前は、ポルトガル語も日本語も不十分で学校の授業について行くことができず、10年間CBKに通った。同じような境遇の子どもが集まり、「第2の家と思えるような居場所となり、助けられた」と語った。

4年ぶりに開かれたブラジル移民祭。130人が集まった

 昨年4月にパラナ州クリチバから両親、妹と来日したフェリーラ・エレンさん(26)は、食品加工工場で勤務している。「日本語能力試験の受験に向けて、CBKで勉強するのが楽しい」と笑顔を見せた。
 その後、参加した全員がかつて移民が出発した同センターから神戸港までの約2キロを歩き、神戸港を周遊する観光船に乗って交流を楽しんだ。参加者の一人で、5歳でブラジルに渡り、34年後の92年に日本に戻った牧山静(まきやましずか)さん(69)は、「毎年、移民祭に参加している。多くの人に移民のことを知ってもらいたい」と話していた。

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