《ブラジル》貧民街の増加止まらないサンパウロ市=パンデミックで困窮進み1747カ所にも

サンパウロ市のファベーラの一つ(Gabriel de Andrade Fernandes , via Wikimedia Commons)

 サンパウロ市役所が2日、市内のファヴェーラ(貧民街)は1747カ所に増えたと発表したと同日付G1サイトが報じた。
 市役所によると、ファヴェーラの数は2014年が1656カ所、2019年が1728カ所、2023年1747カ所と増えてきている。貧民街は最近使われていない公有地や私有地を不法占拠することから始まるため、上下水道や電気などのインフラがない。

 ファヴェーラの増加は生活が困窮し、家賃が払えなくなった人達が増えたことなどを示している。14年から19年は景気後退(リセッション)、19年から23年は新型コロナのパンデミックなどの要因が貧困化とファヴェーラの増加を招いたと思われる。
 TVグローボが訪問した同市東部のシダーデ・チラデンテスのコムニダーデ・ダ・パスは、できてから1年にもならない新しいファヴェーラで約100世帯が住んでいる。ここは雑木林に覆われた公共の土地だったが、なかば放棄された状態だったために人々が家を建て始めたという。
 「最初に住み着いた人達は『ここは放棄された土地で照明もほとんどなかったため土地を占拠した』と語っていた」とG1の取材に証言したのは、コミュニティのリーダーの一人のレオナルド・ナシメント・マスカレーニャス氏だ。
 同氏はまた「我々も何度か土地を購入しようと試みたが、最近は金利が高く、家の頭金を払うのが難しい。家を買えない人は借家に住むしかないが、不利な条件で借家住まいをしている人の多くは、何らかの形で住む場所を探す必要がある」と不法占拠を正当化している。
 パンデミックによる失業と家賃を払うことの難しさは、新しいファヴェーラの住民達が強調している点の一つだという。
 同市極東部のグアイアナーゼスにあるファヴェーラはできてから2年位で、ゴミ捨て場などから拾ってきた木材やPVC、屋根用の資材などを使って作った家が立ち並ぶ。
 コミュニティのリーダー達によるとファヴェーラでは毎日のように新しい家族が移り住んでいるという。
 不法な形で占拠された土地の場合は、土地の所有者が法的手段を講じれば土地の返還と住民の退去を求めることができ、不安定な地域に住む家族には各地区の担当局員がサービスを提供するとの声明を市役所は出している。

サンパウロ市パライゾポリスのファヴェーラ(2日付G1サイトの記事の一部)

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