サッカー=「スペインの人種差別は日常」=ヴィニの抗議にルーラも応援

 レアル・マドリッドのヴィニシウス・ジュニオルが21日の試合で観客の人種差別的な野次に激昂した上、相手チームの選手に平手打ちを食らわせて退場処分となった。同国で同選手に対する人種差別が相次いでいることから、ルーラ大統領やフラヴィオ・ジノ法相が抗議。国際問題に発展しつつある。21日付グローボエスポルテ(1)などが報じている。
 騒動のきっかけとなったのは21日、メスタージャ・スタジアムで行われていたスペインのラ・リーガ(国内リーグ)、ヴァレンシア対レアル・マドリッド戦の後半27分、「マカコ(猿)」と叫んだファンにヴィニシウスが食ってかかり場内が混乱。試合が中断された。
 試合はその後再開されたが、その後に相手キーパーが火に油を注ぐような行動をとった結果、両チームの選手がもみ合いとなり、ヴィニシウスが振り払った手が相手の選手の顔をたたく形をなったのをビデオ鑑定で確認した審判が、ヴィニシウスに退場を命じた。
 これに納得のいかないヴィニシウスは試合後、インスタグラムに「1度や2度や3度のことではない。ラ・リーガではいつものことだ。かつてはロナウジーニョやロナウド、クリスチアーノ、メッシのものだったラ・リーガは今や人種差別者のものだ」と怒りをぶちまけた。
 ラ・リーガのハビエル・テバス会長はこれに対し、「同リーグでは人種差別問題が起こるたびに対処し、愚か者を処分している」「スペインやラ・リーガを人種差別者扱いするのは不当だ」と語った。それに対し、ヴィニシウスが「人種差別を諌めるのかと思いきや、僕への批判とは」と返している。
 テバス会長は同国の極右政党Voxの支持者として知られているが、同僚たちはヴィニシウスへの連帯の意を示している。
 ラ・リーガへの人種差別への申し立ては今期だけで九つあるが、内八つがヴィニシウスのもので、その中には今年1月にマドリッド市内で起きた、橋の上からヴィニシウスのユニフォームを着た黒いマネキンをぶら下げたものも含まれている。
 この問題に対し、ブラジル側も連邦政府が反応している。ルーラ大統領は、「サッカーにレイシズムとファシズムは厳禁だ」とし、国際サッカー連盟(FIFA)とラ・リーガに対策を求めた。フラヴィオ・ジノ法相はラ・リーガのスポンサー企業に人種差別に関しての見解を求めている。

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