G7広島サミットに参加したルーラ大統領は日本時間20日午前8時50分から約1時間、岸田文雄首相と首脳会談を行った。両首脳はブラジル人の日本短期滞在査証免除に向けた手続き開始や、ブラジルの保健医療分野への300億円の円借款支援などに関する協議を行った。ブラジル大統領のG7サミット参加は14年ぶり。
TVブラジルの報道(1)によれば、岸田首相は会談冒頭で、複雑な世界的問題の議論におけるブラジルの行動の重要性を強調し、「経験豊富なルーラ大統領を交えて、気候、教育、開発、平和、安定などの問題について率直な議論を行いたいと思っています。来年ブラジルが議長国を務めるG20サミットに向けても連携していきたいと思っています」などと述べた。
ルーラ大統領は「広島県民の温かい歓迎に心から感謝を捧げたい。広島に来ることになるとは想像もしていなかった。ちょっと遠いので機内で26時間も過ごしたが(笑)、来る必要があった」と語り、「1908年以来、多くの日本人がブラジルの成長に貢献してくれた。両国の関係は投資、貿易面だけでなく、文化、政治、科学の分野でもっと発展できる」と2国間の絆を強めることの重要性を強調した。
ルーラ大統領の通訳は、05年訪日時にも大任を果たした村山サンドラさんが務めた。
日本国外務省広報は「両首脳は、世界が複合的危機に直面する中、気候、食料、開発や平和と安定といった国際社会が直面する諸課題に幅広いパートナーが協力して対応することが重要である」ことで認識を一致させたと報じた。
また岸田首相は、日本企業が注目するブラジルの税制改革の進展に期待を示し、ブラジル一般旅券所持者に対する短期滞在査証免除措置の導入に向けた手続を開始することを伝えた。加えて、ブラジルの保健医療セクター等を積極的に支援するため300億円の円借款が近く実現する予定だと伝えた。
ルーラ大統領は自身のツイッターで「岸田首相と素晴らしい会談ができた。私たちは両国の起業家と企業との関係を再開させ、拡大する必要性について話し合った。私たちは日本や日本の大きな日系伯人コミュニティと文化的なつながりを持っている。私たちのパートナーシップの拡大は、両国の成長にとって重要である」と発信した。
ルーラ大統領は21日、ブラジルに投資している日本の大企業グループのリーダーらと最先端技術投資に焦点を当てた会談を行った。
参加したのは国際協力銀行(JBIC)、自動車(トヨタ)、商社(三井物産)、エレクトロニクス・通信(NEC)、鉄鋼(日本製鉄)など。
ルーラ大統領は会談で、国立経済社会開発銀行(BNDES)とJBIC間のパートナーシップの必要性を強調。さらにブラジル政府は、連携と投資を拡大するために、著名な日本人企業家グループとブラジルのビジネス界との新たな接触を促進する準備を進めていることを明かした。