妻とサンタレンの近くにある「アマゾンのカリブ」とも呼ばれる風光明媚な観光地アウテル・ド・ションへ旅行したので書いてみます。
4月末、パラー州アマゾン川の支流タパジョース川の河口にある小さな町に宿泊した。サンタレンの近郊である。たくさんの小舟や数隻の遊覧船が岸や沖合に舫っている。今は雨季で川の水かさが増したため、砂浜の上に建てられたキオスクの屋根が殆ど水没し屋根だけ見える。私達は近くにある小山に登った。頂上に標識があり、マナウスへ527キロとある。
モーター付き小舟でアマゾン川に向かって行く。途中でガイドが、ある岩盤を指差し、あれは硫黄の層だと言う。雨が降りだし、皆ずぶ濡れになり、一軒の水上家屋に着く。その近くには水上家屋はなく、あるのは流れて漂っている浮き草だけで、家屋のそばに林がひろがっている。
水上家屋には一家族が住み、犬、猫などが同居している。手漕ぎボートに乗り移り、林の中を案内してもらう。木には猿、ナマケモノ、大型のシガーナなどの野鳥が群れ、鳴き声が飛び交っている。家の下には魚の群れがいる。夜になるとワニも見れるらしい。
赤い目が光るからワニとわかるそうだ。アナコンダなどの大蛇はいないのだろうか、聞くのを忘れた。ここは乾季には泥道になるのだろう。
タパジョース川を40キロ行くとアマゾン川に出るそうで、川の色が違うが雨が降っていたのでよくわからなかった。ここは全く海と同じで対岸は全然見えない。別の日、別の場所で直径1メートルあるオオオニバスを見た。
ボットと呼ばれる川イルカの群れを見物する。以前私はベレンからマナウスへ船で旅行したことがある。その船に一緒に群れて泳ぐイルカや、ブラジルへの最後の移民船にくっついて泳ぐ海イルカを見たことがある。イルカにはそういう習性があるのだろう。
この小さな町で、毎日世界最大の淡水魚と言われるピラルクーの料理やタペレバーと呼ぶ果物のジュースを満喫した。また日系人に出会ったが一人の二世の男性は旅行関係の仕事を、別の二世の女性は宿泊所を経営していた。
さて約10年前、エスダード・ミナス紙に、アマゾン川の下層に別の大河が流れているという記事が掲載されていたのが記憶に残っていて、ガイドに問い合わせると新聞の内容と似たようなことを言っていた。インターネットで調べてみたのでそれを引用する。
《2011年、ブラジル国立天文台の研究グループは、アマゾン地域の地熱を調べた結果、同地域の地下約4キロにアマゾン川より幅の広い全長6千キロの地下水脈が流れていることが分かったと発表した。
この川をインド国籍の発見当事者の名前を付けてハンザ川と命名した。この川は幅200~400キロメートルで、アマゾン川河口付近の倍以上。
土砂混じりのため流れは遅く、最大秒速2メートルのアマゾン川に比べ、ハンザ川の水は1年で10~100メートルしか進まない。
研究グループは、アマゾン地方で地下原油を探していた国営石油公社ペトロブラスが調査のために1970―80年代にアマゾン川で採掘した241カ所の深井戸の温度データなどを分析し、大量の地下水が一つの大きな流れになっていることを突き止めた》
また、世界最古の火山はアマゾン火山と呼ばれ、パラー州のウアツマン(uatumã)地域(マナウスとサンタレンの中間に位置する)にある。19億年前の火山で、この地域の激しい火山活動が金などの貴重な鉱物の堆積をもたらしたという。この火山は今では完全に非活性化している。一番大きいものは直径22キロメートル円形状のカルデラがある。
別の話ですが、50数年前にアメリカのグランドキャニオン(平均標高1500メートル)で野宿した時に見つけた貝殻、また、ボリビアのウユニ湖(標高3600メートル)で見た珊瑚礁のかけらの化石のようなものなどを考えると、北米でも南米でも海底が隆起したのではないかと想像する。
地球は誕生して46億年になるそうだが、現在も活動中で、将来何億年か経つと別の形になっているに違いない。
果たして人類はその時まで生存しているだろうか。