22日に治安フォーラムが発表した「失踪者地図」によると、2019~21年の失踪者は20万人超で、1日平均183人が行方不明になっていたと同日付アジェンシア・ブラジルなど(1)(2)(3)(4)(5)が報じた。
同フォーラム責任者のサミーラ・ブエノ氏によると、この数はもう十分に大きいが、全国規模の登録システムが機能していないため、実際はもっと多い可能性がある上、19~21年に発見された不明者は11万2246人のみだ。昨年は3万4千人が見つかったが、この数は19年以前の失踪者も含んでおり、それを上回る失踪者が毎年出ていることを考えると、発見率は非常に低いという。
19~21年の失踪者の約30%は子供や12~17歳の青少年で、犯罪に巻き込まれた後に誘拐された、奴隷労働や性的搾取の被害に遭った、虐待や家族間の意見の相違などで家を出た自発的失踪など、様々な要因が考えられるという。失踪者の62・8%は男性で、64・3%は黒人系だったという。
他方、パンデミック下の21年の失踪者は19年より22・3%少ないという興味深い結果も出ている。コロナ禍の間の失踪者減少は全連邦自治体で起きたが、40~49歳の男性だけは増えた。同年齢層の男性失踪者増加は、失業者増加や所得減少で路上生活者が増えたことと関係があると見られている。
同氏は、ブラジルでは行方不明者が出ても、犯罪か自発的失踪かが明確でないために捜査対象になりにくいという問題も指摘している。
統一登録システムがなく、捜索は各警察署の判断という状況下では何年間も子供の行方を捜している親も増える。1995年に13歳で失踪した娘を捜索中で、子供を捜す親による「マインス・ダ・セー」という運動創始者のイヴァニゼ・エスペリジアン・ダ・シルヴァ氏は一例で、27年間手掛かりが掴めずにいる。同様の状況下の親は1万2千人以上おり、失踪は治安上の問題とされるべきだが、実際には子供達は失踪者という統計の一部でしかないという。
全国共通の失踪者登録システム創設は19年に裁可された法令で定められているが、19~22年は予算もつかず、実働に至っていない。児童・青少年憲章には子供の責任は国や社会、家族が負うとあるのに、失踪したら家族だけの責任とされてしまい、国は何もしてくれないと親達は嘆き、批判している。