父母に日ごろの感謝伝え=母の日・父の日発表会=ピラール・ド・スール日本語学校

発表会の様子

 ピラール・ド・スール日本語学校(阿部勇吉校長)は12日、サンパウロ州ピラール・ド・スール市の同市日本文化協会会館で「母の日・父の日発表会」を行った。同校生徒70人が合唱や劇などを披露し、発表後には手作りのプレゼントを父母に手渡し、日ごろの感謝の気持ちを伝えた。

 発表会は午後6時半に始まり、会場には父母や親族、文協会員、学校卒業生ら約200人が訪れた。
 開会挨拶に立った阿部学校長は先日行った自身の2カ月間の日本滞在に触れながら、「日本語の勉強を頑張れば、いつかお父さんお母さんと日本に行ったとき、本当に楽しい思い出が作れます。父兄の皆さんはお子さんが日本語学校を卒業できるよう最後まで応援してあげてください」と語り、発表会準備に携わった教師らへお礼の言葉を述べた。
 生徒代表の斉藤とみえさん(13歳、3世)は「私はお父さんお母さんに本当に感謝しています。毎日私達のために働いてくれているからです。日本語学校に通い、勉強が出来るのも、お父さんお母さんのおかげです。今年はたくさんの人が来てくれているので、ちょっと緊張していますが、最後まで発表を楽しんで下さい」と述べた。
 発表会は4年ぶりの通常開催となり、「20年以上、母の日・父の日発表会を行ってきたが、これほどまでの人が集まったのは初めて」と教師も驚くほどの人出だった。
 発表会では全校生徒による合唱や合奏、幼稚園児によるお遊戯、1年生による踊り、2年生以上によるダンス、劇、コントなど8演目が約2時間にわたって披露された。
 最初の演目は、鍵盤ハーモニカや木琴、笛、ハンドベル、すず、タンバリンなどを用いた合奏。生徒のほとんどが楽譜や楽器に触れるのは今回が初めてだった。練習期間は2週間と短く、毎日家でも練習を頑張ってきたという。初体験の楽器演奏と舞台上発表で生徒らには緊張が見られたが、演奏終了後には会場から大きな拍手が贈られた。
 「大きなかぶ」を題材にした劇では、来場者へ劇の参加が呼び掛けられ、父母や母の会会長、父兄会長、文協会長の名前が呼ばれる度に会場から歓声が起こった。最後は会場全体で「ハバネーロ(かぶ)!」コールが起こるなど大きな盛り上がりをみせた。
 最終演目、合唱「打ち上げ花火」では、生徒70人が舞台上と舞台下に並び、元気よく歌いあげた。
 発表終了後、手作りプレゼントを受け取った父母らは感激した面持ちで子供と抱き合い、喜びの表情を見せていた。

 母の会会長の三瓶マダレーナさんは「生徒やその親にとって、今夜は忘れられない夜になりました。日本語学校の活動を続けていく上で、家族はとても重要な存在です。新入生の父母の方々、これが私達の、この日本語学校の文化です」と語り、発表会開催に携わった人々へ感謝の気持ちを語った。今年は4~9歳の約30人の子どもが入学した。 
 父母らが教師のもとへ赴き「今日は本当に素晴らしかった。ありがとう!」と感謝や慰労の言葉を伝える場面も多く見られた。
 教師らは発表会を無事に終えたことで安堵の表情を見せ、「生徒は発表会を通じて、日本語だけでなく音楽や演技、努力の方法など、とてもたくさんのことを学ぶことができた。初めての経験で上手く出来なかったこともあったが、それも一つの経験として意義のあること。発表会は9月の敬老会や来年以降にもあるので、今回の経験や反省を生かし、もっとうまくなっていってくれたらいい」と語った。

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