省庁再編暫定令=議会修正案で両院通過=環境省や先住民省に痛手=ルーラ自ら票集め調整

5月31日の下院(Lula Marques/Agencia Brasil)
5月31日の下院(Lula Marques/Agencia Brasil)

 5月31日、ルーラ大統領が年頭に出した省庁再編の暫定令(MP)に対する下院の全体投票が行われ、苦戦が予想されていたにもかかわらず、337票対125票で承認された。同MPは1日に上院に回され、51票対19票で承認され、ルーラ大統領の裁可待ちとなっている。5月31日付フォーリャ紙(1)などが報じている。
 下院での投票は、アルトゥール・リラ下院議長(PP)が連邦政府の政局調整(アルチクラソン)の脆弱さに強い不満を示す中で行われた。この投票の前に、連邦政府は四つの法案で敗れていた。
 今回の投票も、5月30日に行う可能性があったのに、先住民保護区の制定に関する法案(PL490/07)審議を優先させ、31日に審議した。
 省庁再編のMPは1日までに両院で承認されないと、ボルソナロ政権当時の省庁編成に戻さなければならないため、懸念された。現政権では大幅に省庁を増やしていた。
 だが、5月30~31日はルーラ大統領自らが政局調整に乗り出して多額の議員割当金の支出を認めたことなどもあり、予想以上の票数差での承認となった。内訳を見ると、与党勢力の労働者党(PT)、民主労働党(PDT)、ブラジル社会党(PSB)、ブラジル共産党(PCdoB)、緑の党(PV)、レデは全員が賛成票を投じており、財政均衡法案(アルカボウソ)やPL490の際よりも与党の連帯を示す結果となった。
 そこに加え、閣僚を出している民主運動(MDB)は賛成35人に反対3人、社会民主党(PSD)は賛成36人に反対2人、票は割れたが、ウニオンでも35人中20人が賛成票を投じた。
 さらにリラ議長のPPも34人、共和者(RP)も30人が賛成票を投じた。野党最大勢力のボルソナロ前大統領の自由党(PL)でも8人が賛成票を投じていた。
 この背景には、この数日間に連邦政府が議員割当金の解放と、連邦政府内の役職への登用を約束したことがある。これが議会最大勢力の中道勢力(セントロン)に受け入れられたと言えそうだ。
 ただ、今回の再編はマリーナ・シウヴァ環境相率いる環境省や先住民省には苦いものになっている。下院が承認したのは、報告官のイズナルド・ブリョンエス下議(MDB)が提唱、両院合同特別委員会が承認した案で、環境省傘下の国家水資源庁(ANA)を地域開発統括省に、農村環境登録局(CAR)が公共サービス管理革新省に、基礎衛生全国情報システム(Sinisa)を都市省に移管することになった。
 また、先住民省も先住民保護区の認証と制定の権限を法務省に戻すことになる。
 さらに、農業開発省傘下だった国家配給公社(Conab)が農務省に移される。
 上院での審議は1日に行われ、51票対19票で承認された。

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