アマゾナス州ヴァーレ・ド・ジャヴァリ地区(VJ地区)で起きた、英国紙『ザ・ガーディアン』寄稿者の英国人ジャーナリストのドン・フィリップ氏と先住民族保護活動家のブルーノ・ペレイラ氏の殺害事件から1年経ち、先住民族の領土保護の脆弱性という歴史的問題が再び注目されていると4日付アジェンシア・ブラジル(1)(2)が報じた。
「ドンとブルーノ殺害事件」は、ドン氏が英国紙への寄稿者でアマゾン問題に関する著作もあることで国内外に知れ渡った。だが、逆に、先住民族に対するあらゆる種類の攻撃が報道されることは稀で、国民の多くはアマゾンや先住民居住地で起きている問題の深刻さについて殆ど知らないことも露呈。国立先住民族保護財団(Funai)会長のジョエニア・ワピシャナ氏も「外国人ジャーナリストが巻き込まれていなかったら、これ程大きな影響を及ぼしていただろうか」とコメントした。
ブラジル全国司教会議(CNBB)傘下のインジオ宣教師協議会(Cimi)によると、2021年に殺された先住民は176人で、内99人は法定アマゾン内で殺された。
ブルーノ氏がFunaiを休職して立ち上げた非政府組織ヴァーレ・ド・ジャヴァリ先住民連合(Unijava)の弁護士エリエジオ・マルボ氏によると、ブルーノ氏は先住民族の権利を守る活動故に政治的圧力を受けていたし、VJ地区がある西部アマゾンの状況は殆ど変わっていないという。
エリエジオ氏は状況は多少改善したとしつつ、同地域で実現可能な公共政策や実施計画が提示されることに期待していたが、政権移行期に連邦政府に示した優先事項に沿った厳重な取り締まりは行われておらず、アマゾンはますます漸弱になっていると語っている。
この点は、同地域には依然として構造的な行動と安全保障の強化が欠けているとのジョエニア氏の見解と軌を一にする。VJ地区は840万ヘクタールを有する国内2位の先住民保護区だ。
5日付UOLサイトなど(3)(4)(5)(6)によると、事件後1年で、事件に関与した容疑者達は告訴された。また、5日にはブラジリア、リオ、カンピーナス、ベレン、アタライア・ド・ノルテ、サルバドールの最低6市とロンドンで抗議行動などが行われた。先住民達は徹底的捜査、ジャーナリスト達は安全の保証を求めている。
なお、2日付アジェンシア・ブラジル(7)によると、ドン氏が出版するつもりだった『どうやってアマゾンを救うか:知っている人々に訊け』は近日分に発刊となる見込みだ。