最高裁、リラ下院議長の収賄起訴状を却下=連警エフェスト作戦では新疑惑が浮上

リラ議長(Marcelo Caargo/Agencia Brasil)
リラ議長(Marcelo Caargo/Agencia Brasil)

 最高裁第1小法廷が6日、下院で絶大な力を持ち、連邦政府にも強い影響力を持つアルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)に対する収賄容疑で起訴状を受理するか否かの審理を行い、満場一致でお蔵入りとさせた。以前の同件の審理ではリラ氏は被告とされていた。だが、その一方で、連邦警察のエフェスト作戦で同議長の関与の可能性を連警が推測し始めている。7日付フォーリャ紙など(1)(2)(3)(4)が報じている。
 6日に最高裁第1小法廷で行われた審理は、2018年に連邦検察庁が起訴していたリラ氏の収賄容疑だ。これはラヴァ・ジャット作戦主犯のアルベルト・ユセフ容疑者が報奨付証言で語ったもので、それによると、リラ氏はPPの下院リーダーだった時、ブラジル都市電車公社(CBTU)の総裁としてフランシスコ・カルロス・カバレロ・コロンボ氏を支持することの引き換えに10万6400レアルの賄賂を受け取っていたとされていた。同件は2019年に最高裁で審理が行われ、リラ氏は被告となり、上告したが、2020年の上告審理でも却下が優勢だった。
 だが、ジアス・トフォリ判事が見直しを求めたため、審理が中断。その後、報告官を務めたマルコ・アウレーリオ判事が2021年に定年退職してアンドレ・メンドンサ判事に代わり、ローザ・ウェベル判事が長官に昇格したことで判事の顔ぶれが変わった。
 それに加え、同氏を起訴した検察庁が一転して起訴を取り下げたため、トフォリ判事の投票再開による審理の再開時に、メンドンサ判事を報告官とすることと同判事による投票を認めたため、審理結果も一転。メンドンサ、アレッシャンドレ・デ・モラエス、トフォリ、ルイス・フクス、ルイス・ロベルト・バローゾの5判事が全員お蔵入りさせることに票を投じた。モラエス、バローゾの両判事は前回審理での投票内容を変更した。
 最高裁は2020年にも、第2小法廷が、一度受理したPPの組織犯罪疑惑についての起訴を却下している。
 リラ議長は、与党勢力が過半数からかけ離れた勢力しか持ち得ない中、下院で強い影響力を誇っている。同議長は連邦政府の政局調整(アルチクラソン)の脆弱さを強く批判し、5日にはルーラ大統領とも会談。同議長はルーラ氏に中道勢力セントロンの政党リーダーにアルチクラソンを任せることや、個人的なスキャンダルなどで一部問題となっている政党ウニオンの閣僚の交代を求めている。
 リラ氏は会見後、「連邦議会は保守でリベラル」と記者会見で強く言い切っている。
 一方、1日以降、リラ議長の側近なども捜査対象に含まれている連警のエフェスト作戦で新たな進展が見られている。捜査対象となっている案件はリラ議長のお膝元のアラゴアス州で展開された学校教材のロボット組み立てキット購買に関する水増し工作と公金横領スキャンダルで、連警はリラ氏が「秘密予算」との呼び名もあった、予算審議時の報告官の裁量で割り振られる議員割当金(2022年で廃止)から、3290万レアルを対象となった州内43市の内9市のキット購入に充てていたと見て、裏付捜査を行っている。

最新記事