外務省によると、国外在住のブラジル人は2009~21年の12年間で38%増え、440万人に達したと5日付R7サイト(1)が報じた。同省によると、国外在住者には総領事館への登録義務がなく、この数は推定値だという。
2021年現在のブラジル出身者が多い国と数は、米国190万人、ポルトガル27・5万人、パラグアイ24・6万人、英国22万人、日本20・6万人だ。地域別では、北米206万7400人、欧州136万881人、南米59万6532人、アジア22万924人、オセアニア6万6687人、中東5万6198人、アフリカ2万6168人、中米・カリブ海9465人となっている。
エコノミストのリエゾ・アルメイダ氏によると、国外在住のブラジル人の増加は失業率や国内総生産(GDP)の動きと連動しているという。2020年は、GDPが落ち込み、失業率が上がったことが国外在住者の増加を招いたと見られている。
同氏は、ブラジルでの機会や資格、生産性の不足なども、新しい機会を求めて国外に出る人が増えた理由と見ている。生活費の上昇と労働市場への参入の難しさとの間には直接的な関係があり、国外のブラジル人コミュニティは、2015年以降、継続的に成長している。
国外在住者の増加と共に増えているのは不法入国者で、21年10月~22年9月に米国への不法入国を試みた270万人中5・7万人はブラジル人だった。不法入国で拘束された人は前年比で41%増えており、今年1~4月も既に1万人超のブラジル人が拘束されている。
国外在住者が犯罪に巻き込まれる例も増加中で、ポルトガルで昨年登録された差別問題の告発件数491件中168件はブラジル人が対象だった。被害者は女性が多く、ブラジル出身という理由での差別が多いという。