S&P格付け=「安定」から「良好」に=2019年以来の好判定=市場の反応も今年ベスト

14日のハダジ財相(Wilson Dias/Agencia Brasil)
14日のハダジ財相(Wilson Dias/Agencia Brasil)

 米国の格付会社スタンダード&プアーズ(S&P)が14日、ブラジルの格付けを「安定」から「ポジティヴ(良好)」に引きあげた。S&Pがブラジルを「良好」と評価したのは2019年12月以来のことで、市場も今年に入って最高の反応となった。14日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)が報じている。
 S&Pの判断では、ブラジルは長期的な視野で見て「良好」となっている。ブラジルがこの評価を受けたのは2019年12月以来のこと。2020年4月からはずっと「安定」と評価されていた。
 S&Pは今回、ブラジルは安定した経済政策の下でより大きな経済成長が見込めるとし、経済基本金利(Selic)も下がるだろうとの見方を行っている。
 報告書には、「GDP(国内総生産)の成長が続くことで財政負債の返済が予想より早く進み、それが通貨の流れをより柔軟にし、国外からの純益も安定させることにもなりうる」との記載もある。
 ただし、財政的な約束履行能力の評価であるソブリン信用格付けは、2020年からの「BBマイナス」のままとなっている。S&Pは「世界三大格付企業」の一つで、他社の評価は、フィッチがS&Pと同じ「BBマイナス」、ムーディーズは他の2社より1ランク上の「Ba2」となっている。
 ブラジルは現状では、大きく分けて4段階ある「低リスクで高品質の投資推奨」「質的に中級の投資推奨」「疑問が残る」「債務不履行の高いリスク」の内、「疑問が残る」のカテゴリーに属している。「中級投資推薦」にあがるには3ランク上がる必要があり、逆に4ランク下がると高リスクのグループとなる。
 14日の市場はS&Pの評価が上がったことに好反応を示した。サンパウロ平均株価指数(Ibovespa)は今年初となる11万9千ポイントを突破。ドルも今年に入ってからの最小値を更新する4・81レアルに下がった。
 また、先物の利子も2024年1月までのものが13・06%から13・01%に下がり、2025年のものも11・17%から11・07%に下がった。長期でも、2026年が10・58%から10・46%に、2027年が10・66%から10・53%に下がっている。
 また、銀行の株価もイタウが0・97%、ブラデスコが0・29%、ブラジル銀行が0・41%上がった。ペトロブラスも、通常株で4・02%、優待株で4・05%上がっている。
 フェルナンド・ハダジ財相は今回の結果を喜び、「行政、立法、司法の三権が調和をとってきたことの結果だ」と語った後、「残りは中銀だ」として、高止まりしたままの経済基本金利(Selic)が下がることへの期待を示した。

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