ヴェージャ誌、クーデター手順案をスクープ=シジ容疑者の携帯記録から=非常事態宣言で選挙無効に

 ボルソナロ前大統領の右腕的存在だった陸軍中佐、マウロ・シジ容疑者の携帯電話から、実質的なクーデターの手順を書いた文書「調停権力としての軍隊」や、いかにしてルーラ氏の当選を無効にするかを語った陸軍関係者との会話記録などが15日付ヴェージャ誌のスクープ(1)で明らかになっている。
 シジ容疑者の携帯電話から見つかったクーデター計画は、連邦警察の情報総局が作成した66ページの報告書の中の3ページ分だ。前政権末期に政権中枢でこの動きを画策した人物がいたことを疑わせるものだ。
 同容疑者は5月3日にボルソナロ前大統領らのコロナワクチン接種記録の改ざん容疑で逮捕され、拘束が続いている。  
 それは1月にアンデルソン・トレス前法務相の自宅から見つかったものとは異なり、最高裁判事らの更迭も含めた、大統領選の結果を変えるための手順が詳細に書かれている。
 それによると、第一段階は「憲法で定めるところの秩序を守るための統括者の指名」から始まり、「憲法で定めるところの秩序を回復させるまでの期間」を設け、「陸軍や連邦警察、連邦道路警察などを統括者の管轄下に置く」としている。
 さらに「憲法を犯す判断を行った司法権力者の判断の内、どの判断を差し止めるか」を決め、「最高裁判事の責任を上院で問う手続き」などをとった上、「選挙高裁の判事を解任し、最高裁からの補欠判事のカシオ・ヌーネス、アンドレ・メンドンサ、ジアス・トフォリの3氏」からなる「新たな選挙高裁が手続きを行う形で、新たな大統領選を行う」「大統領選の日時は統括者が決定する」としている。
 ブラジル憲法が定める「非常事態」には2種類あり、「防衛状態」「包囲状態」(Estado de sítio)の順位に深刻になる。今回の文書は、国家的な騒乱や戦争勃発の際に大統領が宣言する後者が宣言されたことを前提にした内容になっている
 新たな選挙の手順を書いた部分以外にはアレッシャンドレ・デ・モラエス選挙高裁長官への批判がいたるところに記されており、「彼と(当時のルーラ氏副候補の)ジェラルド・アルキミン氏は親密な仲で、モラエス氏は選挙高裁長官を務めるべきではなかった」「ボルソナロ氏を裁判にかけ、被選挙権を奪おうとしている」などとも書かれていた。
 同誌は、シジ容疑者が陸軍関係者とクーデターに関して話し合ったことを示す録音記録の紹介も行っている。その一例は、ジャン・ラワンド大佐との会話で、同大佐がシジ容疑者に対し「頼む。何とかしてくれ。そうしないと大統領は逮捕されてしまうぞ」とクーデターを促すと、シジ容疑者が「大統領は命令を出せない。彼は軍高官を信用していないから」と返している。
 ラワンド大佐はエジソン・スコラ・ロスティ大将と会ったという友人のメッセージも転送している。同大将は「命令ならば遂行する」が、「クーデターとみなされる内容だから陸軍は何もしない。やるか否かは大統領自身にかかっている」と語ったとされ、それに続くラワンド大佐との会話で、シジ容疑者は「一歩ずつだな」と答えている。
 シジ容疑者は来週にも三権中枢施設襲撃事件の両院合同議会調査委員会(CPMI)に召喚される見込みだ。

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