ルーラ大統領が15日、新政権の来し方を振り返り、第2段階に踏み出すための閣議を開き、新しいアイデアを出す前の約束遂行や政権内の見解統一、議会との対話などを求めたと15日付エスタード紙など(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)が報じた。
アルトゥール・リラ下院議長が現政権の政局調整(アルチクラソン)に不満を示し、大統領や政府に関心があるプロジェクトには投票しないと脅す中での閣議は9時間に及び、現政権を取り巻く状況の難しさを暗示した。
議会運営上の鍵を握る中道勢力「セントロン」との危機解決のために大統領が求めたことの一つは、各閣僚のコミットメントだ。議会の支持を得るために役職や議員割当金開放をとの圧力が増す中、政治的要請に応えるには政府の中核をなす閣僚が迅速に対応する必要があるとし、閣僚が解決しなければ自らが解決に乗り出さねばならないとも語った。
ルイ・コスタ官房長官は同日朝、リラ氏と朝食をとり、現政権は約束したことを全て遂行すると約束して合意を得ようとした。リラ氏は、政府が議会で支持基盤を得ない限り、広範な不満への対処は不可能としている。
下院の議員構成は左派140人、野党102人、独立系186人で、流動的な立場の議員も85人いるため、左派のみでは憲法改正(補則)案はおろか、通常の法案も可決できない。このため、現政権は法案審議などの都度、セントロンなどの支持を得ることが必要だ。だが、その度にリラ氏の要求を飲めば、政治の主導権はリラ氏の手に渡ってしまう。
これを知るルーラ氏は閣議の中で、全閣僚がアレッシャンドレ・パジーリャ渉外室長官を助け、議会との政局調整に努めることや役職者指名を速やかに行うことを要請。パジーリャ氏も、5カ月間の総括の中で、議員達の政治的主張に応じなければ危機はさらに悪化するとし、各省、各閣僚が議会との対話に努めるよう求めた。
ルーラ氏は、これまでは組織編成や予算配分、公共政策の修復と再構築に追われていたが、電気や浄水普及のための政策は発表を残すのみで、今後は第2段階に入ると宣言。
大統領は全政策は政府のものであることを確認し、全てに透明性を持たせるため、社会通信局との連絡を密にすることを求めた上、新しいアイデアを出すのは政府としての約束遂行後と釘も刺した。
15日付アジェンシア・ブラジル(10)によると、大統領は同日朝のラジオでも、農業界との間の問題はイデオロギー上のもので運営上の問題ではないと語り、農業・環境政策の合理性や、森林伐採や焼き畑を避けた生産性向上努力の重要性を説き、農業界の理解を求めている。