サンパウロ市保健局によると、同市ではK薬物(drogas K)と呼ばれる合成麻薬による薬物中毒の疑いのある症例が1カ月で倍増したと20日付G1サイト(1)が報じた。これは、最大でマリファナの100倍の効力を持つ、中毒性が高い危険なドラックだ。
K薬物は合成カンナビノイドという薬剤の通称で、1~4月の外因性中毒の症例は、昨年1年間に登録された中毒の症例数98件の倍以上の216件だったが、5月にはこの数が倍増。公立や民間の支援組織への届け出件数は411件だった。
州保健局によると、4月6~6月14日にクラックその他の麻薬ケアハブで対応した相談3454件中、13・9%がK薬物の使用者に関するものだった。州検察局組織犯罪抑圧特別行動班のチアゴ・ドゥトラ・フォンセカ検事は、合成麻薬の被害者や中毒者急増で公共衛生システムに過度の負荷がかかることを案じている。
連邦政府や州政府は4月まで合成麻薬について公に話してこなかったため、K薬物に関する報道は4月以降に集中している。
一例は4月27日付G1サイト(2)で、K2、K4、K9、スパイスなどと呼ばれるK薬物がサンパウロ市に広がり、子供や青少年の麻薬使用に関する専門家の警告も出たと報じた。
そこでは、サンパウロ市東部の鉄道の駅の傍で爆睡する子供達や傍に空になった麻薬の容器が何十も落ちていたこと、目覚めた子供は何も覚えていなかったこと、容器の底に残る僅かな薬物をなめたり、外に出たと思ったら新しい麻薬を手にして戻ってきた子供がいたことなどと共に、「合成麻薬の嵐が近づいている」というフォンセカ検事の言葉も報じている。
また、4月29日付G1サイト(3)は、K薬物は実験室で作られた精神活性物質で、大麻、人工大麻、偽大麻などの名でも売られていることや合成カンナビノイドという名称から、大麻同様の効果があると誤解する人がいることなどを報道。パウリスタ州立大学学際大麻研究センターのフェルナンダ・ボノ・フクシマ教授は、「K薬物は使用者によっては非常に有害で、死に至る可能性もある合成麻薬」と警告している。
4月28日付G1サイト(4)は、K系薬物の押収件数が過去3年間で約350%増えたことや、麻薬密売者達が化学組成に関する詳細情報にアクセスして有害性をさらに高めることを防ぐために刑事研究所が報告書の公開方法を変更することを決めたことも報じたが、5月の数字は、状況がより深刻化していることを示している。