20日、連邦議会で両院合同議会調査委員会(CPMI)が開かれ、連邦道路警察(PRF)元長官のシルヴィネイ・ヴァスケス氏が召喚された。同氏は在職中から投げかけられていた、大統領選決選投票日のルーラ支持者への投票妨害行為疑惑を否定した。同日付UOLサイトなど(1)(2)が報じている。
シルヴィネイ氏は昨年10月30日の大統領選の決選投票当日、選挙高裁から禁止命令を出されていたにもかかわらず、幹線道路での取り締まりを強行。この取り締まりはルーラ氏の票田として知られている北東部を中心に行われた。その時の報道では、ルーラ氏のステッカーを貼った車などが集中的に職務質問を受け、投票場に行くのが遅れたといった声が報じられていた。
また、大統領選の後も、ボルソナロ派による幹線道路封鎖などの抗議行動に際し、アレッシャンドレ・デ・モラエス選挙高裁長官から道路封鎖の撤去を命じられたにもかかわらず、PRFを積極的に動かそうとせず、問題となっていた。
結局、シルヴィネイ氏は大統領選の最中にネット上でボルソナロ氏の支持を表明したことを問われ、辞任に追い込まれた。公務上、特定候補への支持表明は禁止されている。同氏が前大統領長男のフラヴィオ上議の推薦で長官になったことも周知の事実だ。
シルヴィネイ氏は報告官のエリジアネ・ガマ上議(社会民主党・PSD)の質問に答える形で証言を行い、決選投票日の捜査に関しては、「選挙において最大規模の不正が行われそうだったので取り締まる責任があった」と語った。だが、その不正行為疑惑をあきらかにする具体的な証拠の提示はなかった。
シルヴィネイ氏は投票妨害の疑惑に関しても、「PRF警察官は1万3千人もいる。彼ら全員を妨害するよう従わせるのは不可能」「警察官の中には左派も数多くいる」とし、妨害を否定した。北東部での検問が多かったことに関しては、「インフラ上、PRFに属する道路が多かったからだ」と答えている。
検問は全国的に行われたが、10月28~30日にPRFの検問で止められたバスの数は中西部893台、南部632台、南東部571台、北部310台に対し、北東部は2185台で、その数が一桁違っている。また、フラヴィオ・ジノ法相によると、「北東部では決選投票当日に、10台中4台が検問で止められていた」との報告を得ていると主張している。北東部は以前からルーラ氏が強く、7割弱が同氏に投票を行っている。
また、ボルソナロ家との関係に関して、シルヴィネイ氏は「職業上の関係」として、親密な関係であることを否定した。同氏によると、ボルソナロ氏はことのほかPRFに優しかったとし、「だからこそ一緒に写った写真もあるのだ」とした。同氏はボルソナロ氏から度々電話を受けたことも認めたが、それらはすべて職務に関係あることだと主張した。
シルヴィネイ氏の答弁は議員から反発を招き、与野党で議論も起きた。特に目立ったのは自由党(PL)のエデル・マウロ下議で、メンバーでもないのに報告官を遮るように大声で怒鳴ったため、エリジアネ報告官が「黙れ」と制止したほど、荒れ模様にもなった。