上院=ザニン氏の最高裁判事承認=本会議でも圧倒的多数賛成=ルーラの顧問弁護士が出世

サバチーナでのザニン氏(Lula Marques/Agencia Brasil)
サバチーナでのザニン氏(Lula Marques/Agencia Brasil)

 21日、上院憲政委員会で最高裁判事のサバチーナ(口頭試問)が行われ、ルーラ大統領の顧問弁護士も務めてきたクリスチアーノ・ザニン氏が承認を得た。同氏はその後の本会議でも正式に判事として承認された。21日付グローボ紙など(1)(2)(3)(4)が報じている。
 ルーラ大統領による最高裁判事へのザニン氏指名に関しては、同氏がラヴァ・ジャット作戦やその後のルーラ氏の被選挙権回復の裁判などで担当弁護士を務めていたことなどから、その関係の近さを問題視する声もあった。だが、同氏の弁護士としての実績や、欧米諸国の裁判で主流となっている「ローフェア」を紹介する著書で有名になるなど、司法界での評価は高く、承認を確実視する声は事前から大きかった。
 この日に行われたサバチーナは8時間に及んだ。ザニン氏はその中で、LGBTや住民保護区制定問題(マルコ・テンポラル)、麻薬、中絶の問題などについて質問された。
 ザニン氏はLGBTに関しては「あらゆる愛は、基本的な法律で保障されるべきもの」としたが、他の件については、今の時点で話すと判事になった際に自分が扱えなくなる可能性があるとし、「現行法の定めるところに従う」と返答。最高裁での審理が進行中のマルコ・テンポラルに関しては、現在の判事達が進めている審理を尊重する旨を伝えた。
 また、ルーラ氏との関係性について尋ねたヴェネジアーノ・ヴィタル・ド・レゴ上議(民主運動・MDB)に対しては、「ルーラ氏の指名は私の司法実績があるからだと思うが」としつつ、「憲法に従い、偏ることなく務めることは基本中の基本で、司法自体の構成要素だ」と答えた。
 注目されたのはラヴァ・ジャット作戦担当判事だったセルジオ・モロ上議(ウニオン)が、「ルーラ氏とジャンジャ氏の仲人をあなたが務めたとネットで見たのだが」と質問をした場面で、ザニン氏はそれを虚報として否定した。
 また、ボルソナロ前大統領の長男フラヴィオ上議(自由党・PL)もザニン氏とルーラ氏の関係の近さについて質問を行ったが、ザニン氏の返答を褒める一幕も見られ、同氏を厳しく問い詰めることを期待したボルソナロ派の人たちから拍子抜けする声も聞かれていた。
 憲政委員会(CCJ)はサバチーナの後に投票を行い、賛成21票、反対5票で同氏の指名を承認。同件を本会議に送った。
 本会議での全体投票では過半数(41票)の賛同が必要だったが、ザニン氏は58票の賛成票を獲得。反対は18票にとどまり、最高裁判事として承認された。
 これでザニン氏は、4月に退官したリカルド・レヴァンドウスキー氏に代わる最高裁判事に確定。就任式の日程は未定だが、75歳となる2050年11月15日までの27年間、最高裁判事を務めることとなる。

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