アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領は26日、今年に入り4度目の来伯を行い、ルーラ大統領と会談を行った。会談後、ルーラ大統領は2国間貿易で使う地域通貨検討などの希望を語り、両国の国交200周年を記念し、100の支援プランを約束した。26日付G1サイトなどが(1)(2)(3)報じている。
フェルナンデス大統領が半年で4度目という異例のペースで来伯を続ける背景には、同国の差し迫った経済事情がある。アルゼンチンは予てから巨大な債務を抱えている上、年間のインフレ率が100%を突破し、財政的に逼迫している。
これで国内での支持率を落としたフェルナンデス大統領は、今年10月の大統領選の出馬断念を4月に発表。ペロン大統領以来、大半の時代、与党であり続けてきた正義党は、政権維持をかけ、フェリペ・マッサ経済相を大統領選の候補に立てている状況だ。
一方のルーラ大統領も、ネストル・キルチネル大統領の時代から正義党の大統領との結びつきが強い。貿易相手国としても中国や米国についで3位、南米最大の取引相手国であり、積極的に支援する姿勢を見せている。
この日、ルーラ氏とフェルナンデス氏はまずプラナルト宮(大統領府)で会談を行い、その後にイタマラチー宮(外務省)で会見を行った。
この会見でルーラ氏は、「ブラジルからの輸出品に関して財政的な統括ラインを作るよう動いているところだ。ブラジルには、他国のためにアルゼンチン市場を手放す気はない」と語った。さらに、「新しく創造的な方向で前進することが必要だ。その中には、商業部門における両国共通通貨の可能性も含まれている。各々の国の互いの通貨を保ったままにした上でだ」とし、ルーラ氏自身が予てから主張している共同通貨の導入についても口にした。
ルーラ大統領はまた、「アルゼンチンとの国交200周年を記念して」と題し、「約100の共同支援プランを立てたい」との宣言も行った。
大統領がその一つとしてあげたのは、「ネストル・キルチネル天然ガス・パイプライン」だ。これは、ネウケン州にあるヴァカ・ムエルタ天然ガス油田からブエノスアイレス州サジクエローまでをつなぐものだ。「パイプライン建設への投資に、社会経済開発銀行(BNDES)が前向きなのはとても喜ばしいことだ」と、ルーラ氏は語っている。
この100のプランの中には、ブラジルが1982年のマルヴィナス戦争(フォークランド紛争)の際に結んだ、マルヴィナス島の領有を主張するアルゼンチンに対する協力の継続も含まれている。
この後は本来の表向きの目的であるブラジルとアルゼンチンの国交200周年を祝う行事となり、フェルナンデス大統領とファビオラ大統領夫人が記念のメダルを授与された。