27日、1月8日の三権中枢施設襲撃事件の両院合同議会調査委員会(CPMI)に、陸軍のジェアン・ラワンジ・ジュニオル大佐が召喚された。ボルソナロ前大統領の側近である陸軍中佐マウロ・シジ容疑者の携帯電話から見つかったクーデターを促す会話の記録に名前が出てきたことを受けたものだが、ラワンジ氏は「ボルウソナロ氏に抗議者に帰宅するよう求めた」などと発言。これらの発言は議員らを怒らせ、逮捕を求める声も出た。27日付UOLサイトなど(1)(2)(3)が報じている。
ラワンジ氏は、連警が5月にコロナワクチンの接種記録改ざん容疑でシジ容疑者を逮捕した際に押収した携帯電話の中の会話で、同容疑者に対し、「シジ、その人(ボルソナロ)が命令を出さなければならない。EB(ブラジル軍)の指導者が彼と一緒にいないとしても、師団以下は彼と一緒だ。彼にアドバイスして勇気を与えてくれ」とクーデターを勧めるともとれる発言をしていた。
この会話は、ルーラ氏が大統領選当選のディプロマ(認証)を受領した昨年12月12日前後のものだ。そのころは、ボルソナロ支持者らによる軍本部前での抗議活動が過熱していた。
シジ容疑者はこの会話の中で「ボルソナロ氏は軍の高官たちを信用していない」とし、クーデターを起こすのは難しいと考えていることを伝えている。この会話をスクープしたヴェージャ誌は、同容疑者の携帯電話から「統括責任者」なる人物がアレッシャンドレ・デ・モラエス選挙高裁長官らを解任し、新しい大統領選を実施するまでのクーデターの手順を書いた書類の存在も報じていた。
このスクープ後、ラワンジ氏はかねてから予定されていた米国ワシントンへの赴任を取り消されている。
27日のラワンジ氏は多くの場面で黙秘権を行使。この態度が、CPMI委員たちをなおさらイラつかせた。
ラワンジ氏は質問がシジ容疑者との携帯電話での会話に及ぶと、「クーデターなど煽っていない」「私は抗議者たちが帰宅するよう、ボルソナロ氏に宣言することを頼んだだけだ」と発言したが、これが物議を醸した。
連邦政府側のドゥアルテ・ジュニオル下議(ブラジル社会党・PSB)は、「虚偽の発言を行った」とし、連邦検察庁にラワンジ氏を逮捕するよう手続きをとる願いを出した。だが、アルトゥール・マイア議長(ウニオン)は「逮捕するまでの理由はない」として却下した。
このラワンジ氏の発言にはボルソナロ派の議員も呆れた反応を示した。マルコス・ロジェリオ上議(自由党・PL)はこの発言に対し、「誰があなたにこのような受け答えをするよう指導したのか知らないが、今日、今、この場所で言ったところで、全く説得力のない発言だ」と首を傾げた。マルコス上議は、2021年のコロナ禍の上院でのCPIの際、熱心にボルソナロ氏を擁護したことで知られる人物だ。
報告官のエリジアネ・ガマ上議(シダダニア)は、シジ氏の携帯電話の記録の中で、ラワンジ氏が「この番号は盗聴されていないだろうな」と確認している部分があったことも問題視していた。
7月4日のCPMIではシジ容疑者が召喚され、証言を求められる予定だ。