ボルソナロ前大統領の選挙法違反を問う選挙高裁での裁判は29日、判事投票2日目を迎えた。この日は3人の判事が投票を行い、その結果、3対1でボルソナロ氏の有罪が優勢となった。同日午後は最高裁の審理があるため、残り3判事の時点で審理を打ち切り、残りは翌30日に持ち越しとなった。29日付UOLサイトなど(1)(2)(3)が報じている。
28日は報告官のベネジト・ゴンサルヴェス判事がボルソナロ氏の有罪を擁護したところで審理が止まっていたが、この日はそれを受ける形で審理が再開した。
同日最初の投票者のラウル・アラウージョ判事の投票は予てから注目度が高かった。それは、同判事がボルソナロ氏に近い存在とみなされており、審理が始まる前からボルソナロの支持者たちから30~60日間(最大で90日間)の審理中断(票の見直し)をするよう働きかけられていたためだ。
アラウージョ判事の投票の際、他の判事数人が、アラウージョ判事の名前が前法相のアンデルソン・トレス容疑者の自宅から発見された大統領選の結果を変えうる条例の草案の中に登場することに関して説明を求めた。
アラウージョ判事はこれに対し、「今回の主題はあくまで昨年7月18日の大統領官邸でのボルソナロ氏の発言だ」として説明を拒否した。こうした経緯もあり、同判事の投票には1時間40分を要した。
アラウージョ判事は「ボルソナロ氏が会合で語った内容は、被選挙権を失うという究極的な刑を科すには値しない」として、予てから予想されていた通りに無罪に票を投じた。
続いて票を投じたフロリアノ・デ・マルケス・アゼヴェド・ネット判事は、2021年に、選挙の投票集計に関する虚報を拡散したフェルナンド・フランシスキーニ・パラナ州州議(当時)が罷免された例を出し、ボルソナロ氏の被選挙権剥奪を擁護した。
同判事はまた、「地球が平面だと信じる人やそう信じる人のグループがあっても良いとは思う。だが、公の学校で地球が平面だと教えることは認められない」と言い、ボルソナロ氏の行動に関して批判を行った。
続いてアンドレ・ラモス・タバレス判事が投票を行った。同判事は、問題の会合が「組織的な対話もなく行われたものであり、候補者としての自分の利益のために、明確な文脈の中で現実を都合よく操作した虚偽報告を行った」として有罪に投票した。
投票は最高裁判事を兼務する3判事を残して打ち切りとなった。続きは30日12時からで、カルメン・ルシア判事、カシオ・ヌネス・マルケス判事、アレッシャンドレ・デ・モラエス長官の順で投票が行われる。このうち1人が有罪に投票すればボルソナロ氏は8年間の被選挙権剥奪となる。
なお、副候補だったヴァルテル・ブラガ・ネット氏に関しては4判事とも無罪票を投じ、過半数を超えた。